一般社団法人新金属協会

希土類部会需要実績を公表

希土類部会(部会長:横井 英雄 ソルベイ・スペシャルケム・ジャパン(株)副社長)は、
2017年の希土類需要実績を集計し、公表しました。

希土類使用主製品の需要動向は、概略次の通りです。

1.磁石
2017年1~12月のネオジム磁石の生産量は、前年比10%弱増の13000トン強であった。
特に17年後半は、自動車、産業機器向けが好調に推移した。
一方自動車向け磁石はTb粒界拡散法が一般化した結果、
同じ保磁力なら磁化が向上することから磁石サイズが小さくなり、
数量の伸びが押さえられた。
また、磁石3社のベトナム、中国の海外生産拠点が量産稼働を開始したことも、
日本国内の数量の伸びを抑えたと考えられる。

2.ニッケル水素電池
国内民生マーケットについて、2017年上期は2016年下期並みの販売を維持したが、
下期は市販用の販売が振るわず、堅調に推移した非常用照明等バックアップ用途の工業用途向けのカバーにて、
2017年通年では2016年対比若干減(約3%減)となった(4.1億個)。
定置型、車載用への展開もLIB等競合電池もあり、時間が掛かる状況に変わりない。

3.蛍光体
2017年1~12月の蛍光ランプ国内出荷個数は前年比で約14%減であった。
LEDランプへの代替が進み蛍光ランプ需要の縮小傾向が続いている。
2017年1~12月の薄型テレビ国内出荷台数は前年比で約9%減であった。
大画面4Kテレビは成長したが、それ以外の減少が大きい。
液晶テレビのバックライトは、現在ほとんどがLEDになっている。

4.セラミックコンデンサ
2017年1~12月のセラミックコンデンサの生産は9,956億個と前年同期比7.8%増となった。
セラミックコンデンサについて、スマートフォン向けが中国市場で出荷台数が減少したこと等から
伸びが鈍化したものの、
上位機種を中心に高機能化による1台当たりの部分数増加が堅調に推移している。
その他、カーエレクトロニクス向けが、安全性、環境対応、利便性の向上による電装化の進展で
搭載数が増加した。
また、コンピューター及び関連機器向けが、ノートPCの薄型化や高機能化、
さらにネットワーク接続AV機器の増加していることなどにより、セラミックコンデンサ需要が伸長した。

5.排ガス触媒
2017年の自動車の総生産台数は、前年比で5%の増加であった。
乗用車で6%以上の伸びがあったが、東北復興、オリンピック需要、
観光客増などで期待されたバス、トラックは、ほぼ前年と変わらず、期待はずれであった。
一方、2017年の自動車排ガス浄化用触媒の生産量(11,325トン)は、
前年度(9,944トン)と比べて14%の増加が見られた。

6.研磨材
2017年のセリウム系研磨材の需要は、2016年と比較し増加したものと思われる。
液晶用ガラス基板向けは、パネル市場が年間通して好調に推移した事に加え、
パネルサイズの拡大や薄型化の進行も寄与していると考えられる。
また、ハードディスク用ガラス基板向けは、
SSDへの置換えトレンドは継続しているものの、
半導体の慢性的な逼迫がHDD需要を下支えした事で、
堅調に推移したと見られる。

希土類部会需要集計結果18年3月