一般社団法人新金属協会

希土類部会需要実績を公表

希土類部会(部会長:天坂 信之 三井金属鉱業(株)機能性粉体事業部 レアメタル営業部 部長)は、2019年の希土類製品の需要実績を集計し、公表しました。

 

実績表及び主要製品の動向概要は、次の通りです。

1.磁石

2019年1~12月のネオジム磁石の生産量は、前年比4~5%の減少となり13,500トン程度であったと推測される。前年好調であった産業機器向けは、米中貿易摩擦に端を発する中国経済の低迷などにより設備投資が低調で大きく減少した。一方でHV車の国内生産が順調に拡大し、車載用の需要は堅調に推移したが、中国の磁石メーカーとの競合も厳しさを増している。

2.蛍光体

2019年1~12月の蛍光ランプ国内出荷個数は前年比で約12%減であった。LEDランプの普及に伴い蛍光ランプ需要の縮小傾向が続いている。2019年1~12月の薄型テレビ国内出荷台数は前年比で約8%増であった。消費税率改定に伴う特需やオリンピック・パラリンピックを控え大画面タイプや4K対応型が好況であった。液晶テレビのバックライトはLED系が主流である。有機EL系も増えている。このような状況により蛍光体向けレアアースは減少した。

3.セラミックコンデンサ

2019年1~12月のセラミックコンデンサの国内生産は前年同期比12%減の9,162億個となった。エレクトロニクス市場は5G関連の需要が拡大したが、米中貿易摩擦の影響で中国の景気の減速が明確化する中、電子機器の生産調整や電子部品の在庫調整もあり需要が減少した。カーエレクトロニクス向けは自動車の販売台数は減少したものの環境対応や安全性向上の為に部品搭載点数は増加傾向にあった。スマートフォン向けは減少した。この様な状況の中レアアース国内需要は需要家の生産の海外シフトやセラミックコンデンサの小型化、省レアアースの進展もありレアアースの需要は低位安定の状態を継続した。

4.排ガス触媒

2019年の世界の自動車販売台数は米中貿易摩擦等の影響もあり、2018年からさらに減少した。2019年の国内自動車販売台数・生産台数は消費増税の影響もあり、2018年から微減となった。国内外の自動車の販売動向を受けて、2019年1~12月の自動車排気ガス浄化用触媒生産量は11,121tと、2018年1~12月の11,605tから4.2%減となった。

5.研磨材

液晶用ガラス基板、ハードディスク用ガラス基板などに使用されるセリウム系研摩材の2019年1~12月需要は、総じて堅調に推移した。液晶用ガラス基板向けについては、米中貿易摩擦による中国パネルメーカーの生産調整が懸念されつつも、一定水準の需要が維持された。一方、ハードディスク用ガラス基板向けは、想定通りSSDへの置き換えトレンドは続いているものの、サーバー等の大容量向け需要も継続的に拡大している事から、全体需要は底堅い動きを見せた模様。

2019年希土類需要統計