一般社団法人新金属協会

希土類部会需要実績を公表

希土類部会(部会長:渡邊 眞一 太陽鉱工(株)東京支店支店長)は、2020年の希土類製品の需要実績を集計し、公表しました。

1. 磁石

2020年1~12月のネオジム磁石の生産量は、前年比8%の減少となり12,400トン程度であったと推測される。年前半は、コロナ感染拡大により世界経済が低迷し、特に主力とする自動車向けが、生産縮小の影響を受け、大きく落ち込んだ。年後半になり、好調を維持したハードディスクドライブ向けに加え、生産が急回復した自動車向けが堅調に推移し、中国経済の復調に伴いFA関連機器の需要も回復した。

 

2.蛍光体

2020年1~12月の蛍光ランプ国内出荷個数は前年比で約17%減であった。LEDランプの普及に伴い蛍光ランプ市場は縮小傾向が続いている。2020年1~12月の薄型テレビ国内出荷台数は前年比で約11%増であった。ステイホーム需要で大画面や高精細タイプが好調であった。液晶テレビのバックライトはLED系が主流である。有機EL系も増えている。このような状況により蛍光体向けレアアースは減少した。

 

3.セラミックコンデンサ

2020年1~12月のセラミックコンデンサの国内生産は前年比36.1%増の124,657億個となった。エレクトロニクス市場は5Gの普及に伴う通信インフラ向け及び通信端末向けの需要が拡大した。新型コロナウイルスの影響で一時エレクトロニクス市場も低迷したが、中国経済の再開をはじめとし、生活方式の変更によるPC需要の拡大等で好調に推移している。カーエレクトロニクス向けは自動車の電装化、安全機能の拡充、自動化による電子部品需要の拡大により需要増となった。

 

4.排ガス触媒

2020年の自動車販売台数は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛等により、前年比で国内販売は11.5%減、世界全体では14%減と大きく減少した。自動車販売の動向を受けて、2020年1~12月の自動車排気ガス浄化用触媒の生産量は9,579トンと、前年の11,121トンから14%減、販売量については前年から16%減となった。10月以降の自動車販売の回復に伴い、10月から12月は排ガス触媒の生産量・販売量とも前年同期比を上回った。

 

5.研磨材

液晶用ガラス基板、ハードディスク用ガラス基板などに使用されるセリウム系研摩材の2020年1~12月需要は、COVID-19による働き方や生活様式の変化が追い風となり、総じて好調に推移した。液晶用ガラス基板向けについては、在宅勤務やオンライン授業向けのノートPCやタブレット需要が伸び、さらに巣ごもり生活でテレビ向けの需要も旺盛であったことから、液晶パネルの供給逼迫が継続した。一方、ハードディスク用ガラス基板向けは、SSDへの置き換えトレンドは続いているものの、サーバー等の大容量向け需要も継続的に拡大していることから、全体需要としては好調であったと見られる。

2020年希土類需要統計