一般社団法人新金属協会

シリコン部会 プレスリリース

シリコン部会(部会長:谷田貝 悟 株式会社SUMCO 社長室 経営企画部 次長)は、10月21日に2020年の実績、シリコンメーカーの決算(連結ベース)、2021年の状況・見通しについて公表しました。

1.2020年の実績

1-1)2020年の世界半導体市場は前半コロナ禍による世界的混乱の影響や19年の半導体在庫調整が継続し不調であったものの、後半からニューノーマル対応として通信やPC関連を中心に需要が伸び、また半導体在庫調整も一服したことから、全品種で急速に回復した。WSTS統計によれば、2020年の金額ベースの市場規模は前年比7%増の4,404億ドルであり、シリコンウエーハ出荷面積と相関があるIC半導体出荷個数についても前年比7%増の3,101億個であった。

1-2)2020年の世界シリコンウエーハ市場は、半導体需要回復の効果に伴う需要増により、市況は回復した。SEMI統計によると、2020年の半導体用シリコンウエーハ出荷面積は前年比5%増の124億平方インチとなった。また、販売金額は前年同額の112億ドルであり、1平方インチあたりの平均単価は前年比5%減の0.90ドルとなった。

1-3)当部会集計の国内高純度シリコン統計によれば、2020年の国内単結晶生産は、世界シリコンウエーハ市場よりやや回復が遅れ、前年横ばいの9,415トンであった。
 国内単結晶の販売については、前年比2%増の10,463トンであった。国内向けは前年比4%減の3,949トン、海外向けは前年比5%増の6,513トンとなり、輸出比率は前年の60%から62%に拡大した。

2.シリコンメーカーの2020年決算(連結ベース)

2-1)当部会加盟社の2020年決算期ベースの売上高合計は10,128億円であった。面積単価減の影響で前年比2%減となったものの3年連続で1兆円を上回った。

2-2)設備投資は、2019年のシリコン市況減速の影響を受け、前年比25%減の1,375億円となった。

2-3)研究開発費は前年並みの240億円であった。2011年以降ほぼ横這いで推移しており、最先端半導体微細化進展に対応する高精度ウエーハ、環境・省エネルギー対応のパワーデバイス向けウエーハ等の開発である。

2-4)営業利益は、2017年以降需給バランスの改善により収益が向上している。
2020年は平均価格下落の影響を受け、前年比では11%減となったものの、営業利益2,556億円、利益率25%と高い水準を維持している。

3.2021年の状況・見通し

3-1)2021年の半導体市場は、米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの感染拡大によるマクロ経済への影響が観られるものの、リモートワークの広がりによるPC・サーバー向けの需要増や世界的なカーボンフリー化対応に伴う半導体需要増により急速に拡大している。
 2021年春季WSTS市場予測によれば、2021年の半導体市場は、前年比+20%の5,272億ドル、2022年も+9%の成長を予想している。また、今年1-6月の半導体出荷金額累計は市場の急速な回復により前年同期比+24%となっている。

3-2)SEMI統計による世界シリコンウエーハ市場は、2019年4Qを底に回復しており、今年1-6月のシリコン出荷面積累計は前年比11%増の68億7千万平方インチとなり、4半期ベースで過去最高を記録した。特にメモリ、ロジック向け300mmの需要が好調である。

3-3)当部会集計の国内単結晶生産・販売の1-6月累計実績は、生産が前年同期比+7%、販売が前年同期比+11%と好調に推移している。今後も300mmを中心に堅調な需要を期待するが、顧客需要とシリコン生産能力のギャップが今後の課題となる。
 多結晶需要についても、半導体需要の回復に伴い生産量は増加する見込みである。

4.今後の課題

 シリコン業界を取り巻く事業環境は、半導体メーカーの事業再編、中国製造2025の動き、米中貿易摩擦、コロナ禍でのデジタル化拡大、極限までの半導体微細化進展など、様々な需要構造変化が続いており、更には国内固有の懸念事項として、世界的に割高な国内電力料金の問題もある。
 また、安全面においても安全操業確保の諸施策を検討し、新金属協会「災害防止対策安全委員会」で策定した行動計画を協会会員会社に展開し、安全管理体制の強化に継続的に取り組んでいる。
 シリコン部会加盟各社は、需要構造変化への対応と共に、最先端半導体の高精度要求を満たす品質高度化、生産性向上と合理化による不断のコスト低減に取り組んでおり、環境負荷軽減に向けたパワー半導体需要にも対応していく所存である。
 また、シリコン部会は、新金属協会の「半導体サプライチェーン材料規格研究会」と連携し、パワー半導体向け材料の標準化活動なども推進している。

〔今後のシリコン業界の課題〕
①需要構造変化と品質高度化への対応
  1)最先端デバイスの高精度要求への対応
  2)環境・省エネルギー用パワー半導体への対応
  3)生産性向上と不断のコスト低減
②世界的に割高な国内電力料金への対応
③拡大する半導体市場への安定供給

以上