一般社団法人新金属協会

理事研修会で世界最大級を目指す揚水発電所を見学


理事研修会開催
 
理事研修会を次の通り開催いたしました。

日 時 平成26年11月7日(金)13:30〜16:00
場 所 群馬県上野村
見学先 東京電力㈱神流川(かんながわ)発電所

神流川発電所は、長野県信濃川水系の南相木川の最上流部に建設した上部ダム(南相木ダム)と
群馬県利根川水系の神流川の最上流部に建設した下部ダム(上野ダム)
の間の落差653mを利用して発電する揚水発電所です。

平成17年12月に1号機(出力47万KW)、平成24年6月に2号機(出力47万KW)が運転を開始、
今後3号機から6号機が完成し、運転を開始すると世界最大級の揚水発電所となります。

地下発電所は、地表から約500mの地下に2つの大空洞を掘削して合計6台の
発電機を建設する計画ですが、
現在1号空洞が完成して2台の発電機が設置されています。

理事研修会では、一般見学者と共に専用バスで大空洞まで走行し、
発電機建屋内に入り展望台から施設全体を見学しました。
当日は、保守・点検工事が入ったために、
設置階にまで下りて間近に見学することができず残念でしたが、
出入りする工事の人と比較して、その巨大さが実感できました。

一般見学終了後、理事研修会では上野ダムに出て、
東京電力の担当者から神流川発電所で導入された先端技術について説明を受けました。

延長1400m、高低差714mに及ぶ発電所水圧鉄管の水圧は、
導水路水槽基部で約1MPa、水車位置では約11MPaと大きく変化するため、
材質及び板厚について電力各社・製鋼メーカー・重工各社で研究が進められました。
その結果、鋼板及び溶接継手として高張力鋼HT100が開発され、国内の水圧鉄管としては初めて採用されました。

参加された理事の中には、HT100の開発に取り組んだ経験を持つ理事もおられて、
非常に懐かしく、また実際に使用されている現場を訪問できて感銘を受けたとの話がありました。

揚水発電は、電気需要の多い昼間に発電し、
需要の少ない夜間に水車を逆回転させて水を下部から上部ダムまで汲み上げて
再び発電に使用するという一定量の水を繰り返し使用する発電方式です。
原子力発電所が停止している現在、火力等の電力を使用して汲み上げるため、
コスト上見合わず、稼働率は低い状況であるとの説明でした。

会員専用サイトにそのほかのスナップ写真を掲載しました。