一般社団法人新金属協会

希土類部会需要実績を公表

希土類部会(部会長:寺田 忠史 第一稀元素化学工業(株) 上席執行役員 管理本部長)は、2021年の希土類製品の需要実績を集計し、公表しました。

1. 磁石

2021年のネオジム磁石の生産量は、2020年の落込みからは回復し、新型コロナウイルス感染拡大以前の水準に戻ったと推測される。主力となる自動車向けは2020年同様に低調だったものの、ハードディスクドライブやFA関連機器向けの需要は堅調だったとみられる。

2.蛍光体

2021年の蛍光ランプ国内出荷個数は前年比で約11%減であった。LEDランプへの代替が進み蛍光ランプ市場は縮小傾向が続いている。2021年の薄型テレビ国内出荷台数は、前年同期比で約1%減であった。ステイホーム需要が続く中でオリンピック/パラリンピックがあり前半は続伸したが、後半はその反動もあり減少に転じた。LEDの波長変換にはレアアース系蛍光体も用いられるが使用量は極めて少なく、近年新たな発光材料も次々と登場している。このような状況により蛍光体用レアアースの需要は減少した。

3.セラミックコンデンサ

2021年のセラミックコンデンサの国内生産は前年同期比15%増の14,100億個となった。家電向けや5G通信基地局向けでは増加したものの、半導体や部材の供給不足の影響により、カーエレクトロニクス向けやAV機器向け、さらに中華圏スマートフォンメーカーの在庫調整の長期化からスマートフォン向けで減少した。一方、脱炭素に向け自動車業界ではカーエレクトロニクス向けとしてEV化の促進の強化、進展により部品搭載点数の増加の影響もあり、需要は拡大しつつある。セラミックコンデンサでは脱レアアース化が浸透しており、小型化、生産者の現地生産等も重なりレアアースの使用量は低位安定した状況で大きな変化はない。

4.排ガス触媒

2021年の自動車生産は、半導体不足の影響、東南アジアでの新型コロナウイルスの感染拡大による部品調達の停滞などによって減産を強いられ、世界の自動車販売台数は2020年比で微増、国内の自動車生産台数も2020年比で3%マイナスと伸び悩んだ。一方、各国の排気ガス規制強化に伴い触媒の需要は増加したことにより、2021年の自動車排気ガス浄化用触媒の生産量は10,314tと、2020年の9,579tから8%増、販売量については2020年から7%増となった。

5.研磨材

液晶用ガラス基板、ハードディスク用ガラス基板などに使用されるセリウム系研摩材の2021年需要は、前半はCOVID-19による生活様式の変化に伴う需要が続いていたものの、後半は軟調に推移した。液晶用ガラス基板向けについては、テレビ向けの巣ごもり需要は一服し、在宅勤務やオンライン授業向けのノートPCやタブレット需要も落ち着いてきた模様。一方、ハードディスク用ガラス基板向けは、SSDへの置き換えトレンドは続いているものの、サーバー等の大容量向け需要も継続的に拡大していることから、全体需要はコロナ禍においても引き続き堅調であったと見られる。

2021年希土類需要実績