一般社団法人新金属協会

会長挨拶

会長写真

6月3日の定時総会及び臨時理事会で諏訪邉会長の後を受け、新金属協会会長に就任いたしました轟でございます。

小林、牧野、2名の副会長をはじめ協会役員、会員企業の皆様方のご協力をいただきまして、この重責を務めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

私は、約8年前(2015年~2017年)、ちょうど新金属協会が創立60周年を迎えた時期に協会会長を務め、今回が2度目となります。その時、創立60周年を期に協会のロゴマークを一新いたしました。当協会は異業種集合体として活動しているユニークな団体です。ロゴマークの各色の付いた丸い点は上から時計回りに希土類、シリコン、タンタル、核燃料加工、ジルコニウム、ターゲット、ベリリウム、化合物半導体、磁石用希土類リサイクルの9つの部会を表しております。その取扱う素材は普段皆様の目に触れられるものではありませんが、世界の主要産業の基幹材料となる高機能素材です。この9つの部会で各々の課題への対応等を行っておりますが、協会として支え合おうと言う意志を込めまして、このデザインといたしました。

昨年度の新金属産業を振り返りますと、業種によるバラツキもありますが、各種電子デバイスの調整局面からの回復が徐々に進んでいる状況の中、生成AI関連やデータセンター関連需要の拡大といった明るい話題も聞こえてきました。また、ウラン燃料につきましては、原子力発電所の再稼働が遅れ厳しい状況が継続していますが、女川原発、島根原発が営業運転を再開したことも明るい話題です。
さて、目下の国際情勢を見ますと、米国による関税を巡る動きは、日々変化しており、なかなか今後の展開を予想することは難しく、その動向を注視していくことが必要です。
また、特定国の金属素材の輸出管理強化の動きは、一昨年8月からのガリウムに始まり、昨年8月のアンチモン、本年2月のインジウム等5種類のレアメタル、そして4月の7種のレアアースと、世界中が特定国に大きく依存する金属素材を輸出制限対象として取組を強化・拡大してきており、関税の争いとも結びつき、より複雑さを増しています。さらには、長期化しているロシアによるウクライナ侵攻や中東の混乱等により、我が国を取り巻く環境の厳しさは一段と増しつつあります。

近年の国際情勢の緊張等を受け、我が国政府は、半導体とその部素材、レアアースを用いた永久磁石、レアメタル等重要鉱物等のサプライチェーンの強靭化を図るとともに、経済安全保障の視点から技術管理についても強化を図っております。このように新金属産業の取り扱う高機能素材は一層重要度を増していると同時に、政府と新金属産業界との関係がより重要になっており、技術流出のリスクを共有しながら、安定供給の責務を果たしていくことが大変重要になっていると認識しています。

当協会としましては、広くサプライチェーンを俯瞰しつつ、優れた部素材を安定的に供給していくため、経済産業省様始め関係官庁、関係団体とも連携を図りながら、9つの各部会の活動、そして安全や国際標準化に関する研究会・委員会の活動を軸として以前にも増して積極的な活動を進めたいと考えています。異業種共同体としてのシナジー効果を活かし、会員企業様とともに、限られた地球資源を最大限に有効活用して、高機能金属素材の供給を通して幅広く社会に貢献出来るよう努力してまいりたいと考えております。

最後になりますが、日頃からの協会活動へのご理解とご協力に改めて感謝申し上げますとともに、微力ではございますが、協会会員並びに新金属協会の発展のためにできる限りの努力をしてまいりたいと存じますので、今後とも引き続き一層のご支援とご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

(令和7年6月3日 第33回定時総会後懇親会 会長就任挨拶 要旨)

会長 轟 正彦