一般社団法人新金属協会

ベリリウム部会

業界業況

ベリリウムの主要用途はベリリウム銅合金(Be-Cu)製造のための添加元素である。 Be-Cuは代表的な高級導電バネ材料であり、その主要な用途はコネクター、スイッチ、リレー、ICソケットなどの各種  電子部品である。それらの電子部品の需要は、部品として組み込まれる自動車(電装品)、半導体、家電品等の需...

業界業況

ベリリウムの主要用途はベリリウム銅合金(Be-Cu)製造のための添加元素である。

Be-Cuは代表的な高級導電バネ材料であり、その主要な用途はコネクター、スイッチ、リレー、ICソケットなどの各種  電子部品である。それらの電子部品の需要は、部品として組み込まれる自動車(電装品)、半導体、家電品等の需要動向に大きく左右される。Be-Cu需要の2025年上半期は、自動車向けは堅調、半導体向けは減少、家電向けが回復となった。下半期も上半期の状況より大きな変化はないと思われ、通期では昨年比増を見込む。

1.自動車:

2025年上半期は、日系メーカーの中国市場での苦戦、また、米国高関税の影響による輸出台数減が予測され材料需要は減少と見込んでいたが、特に、高関税の影響は軽微に進み、日系メーカー向け需要は堅調に推移した。中国系メーカー向けは、NVE生産が計画通りに進み、期首より想定通りの材料需要で推移した。在庫過多の状況も昨年で一段落し、自動車向け全体の上半期は堅調であった。下半期以降は、米国関税の動きを注視しながらNEV化に伴う車体の電動化を商機として効果的な提案を行い、Be-Cu採用件数を拡大させていく。

2.半導体:

2025年上半期は、AI向けを中心とするデジタルインフラ投資の拡大が進む。材料需要は、その影響を受け好調に進む分野と、需要立ち上りが遅れる分野が混在し、上半期全体では低調となる。下半期以降は、遅れていた需要の立ち上りが見込まれる。

3.家電製品:

Be-Cuはスイッチ、コネクターやリレー端子など導電バネ部品用途、信頼性が要求される箇所に使用される。当需要は家電生産の中心である中国の影響を受ける。2025年上半期は、中国不動産不況継続、昨年の米国高関税前の駆け込み輸出の反動より低調と予測するも、反動の影響が軽微である事と、中国政府の景気刺激策が奏功し、Be-Cu需要は昨年比増となった。下半期以降は、米中関係の影響を大きく受ける業界の為楽観できないものの、現地顧客の需要予測には強さがあり、堅調な推移を見込む。長期的には安定成長する分野の為、既存用途向けと高品質家電向け新規需要を取り込んでいく。

4.光海底ケーブル:

世界各国間のデータ通信は光海底ケーブルを経由して行われ、その中継器筐体にBe-Cuが使用されている。2025年上半期は、プロジェクトが順調に進み、期首の計画通りの需要となった。下半期以降もデータ通信量の増加や、次世代通信規格の設備投資の継続が材料需要を牽引する見込みである。

以上、代表的な用途に関して市場概況を述べたが総括すると、2025年Be-Cu合金需要は上半期の全体では、材料需要は増加傾向である事に加え、顧客の過剰な在庫が期首の段階でほぼ解消された事が受注、出荷ともに昨年比増の要因となった。下半期以降に関して地域別にみると、当面は中国がBe-Cuの主力市場と位置付けている。日本は大きな伸びはなく堅調な需要が維持され、インド、アセアン地域では中国、日本からの移管の受け皿、また、現地での新規需要の拡大が見込まれる。更なる需要創出のため、カーボンニュートラルやデジタルインフラ関連等、伸長分野における提案型用途開発・顧客開拓をグローバルに進めて行く。

活動概要

・化学物質の審査及び製造等規制に関する法律(化審法)を見直し、2020年までに国内の化学物質のリスク評価と管理を実現する体系の構築が進められていますが、これを含めEUの拡大RoHS指令の検討や関連事象について、経済産業省等からの情報収集を図りました。 ・特定化学物質障害予防規則等の改正について、経済...

活動概要

・化学物質の審査及び製造等規制に関する法律(化審法)を見直し、2020年までに国内の化学物質のリスク評価と管理を実現する体系の構築が進められていますが、これを含めEUの拡大RoHS指令の検討や関連事象について、経済産業省等からの情報収集を図りました。
・特定化学物質障害予防規則等の改正について、経済産業省及び厚生労働省並びに関係団体からの情報収集を行いました。
・経済産業省情報通信機器課が主催する「改正RoHS関連工業会合同勉強会」に関し、情報収集を行いました。
・協会ホームページで部会活動、業界動向等の情報を広く発信するための議論を行い、発信内容を検討しました。

年表

1960年代
金属ベリリウム・ベリリウム銅製造(販売)開始
1970年代
原子力産業用材料へのアプローチ
1980年代
通信機器分野のほか、家電、電子機器、自動車部品などの新分野での需要の増加
1950年代
1955:ベリリウムの製造研究着手(日本碍子、三徳金属工業、横沢化学工業)
1955:三徳金属と横沢化学のベリリウム事業
1956:ベリリウム抽出
1975:終了 (日本碍子)
1958:金属ベリリウム、ベリリウム銅母合金の生産 (日本碍子)
1960年代
1960:協会にベリリウム部会設置
1961:銅母合金委員会、分析委員会発足
1962:ベリリウム銅鋳造金型の生産(圧力鋳造・精密鋳造)
2003:終了 (日本碍子)
1980年代
1984:展伸圧延事業開始
1920年代
1927:Berylium Corp.(Berylco)
1960年代
1968:Kawecki Berylco Ind.(KBI)
1970年代
1971:Brush Wellman Inc.
1978:Cabot Corp.
1980年代
1986:NGK Metals Corp.
1940年代
1940年代前半の大戦中に米国で軍需向け合金用途が急増
1950年代
1950年代前半、朝鮮戦争特需で生産急増
1970年代
米IBM向けSLT(Solid Logic Technology)コネクターにベリリウム銅が適用→ベリ銅事業の基盤醸成
原研、材料試験炉(JMTR)用に金属ベリリウム反射体を納入
海底ケーブル用中継筺体(ベリ銅)納入(NGK)
スピーカー用金属ベリリウム振動版開発(NGK)
原子力用金属ベリリウム枠を原研(JMTR)に納入(NGK)
1990年代
海底光通信用筺体を納入(NGK)
放射光施設(Spring-8)のビームラインにベリリウム使用

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