一般社団法人新金属協会

ターゲット部会

業界業況

【半導体用ターゲット】 2025年上半期(1-6月)を総括すると、AI関連投資に伴って需要が拡大している高性能チップの牽引により回復の度合いを強めた一方、地政学に加え米国関税影響による世界経済への先行き不透明感が増した期間であった、といえる。 WSTS(世界半導体市場統計)は、2025年春季予測にお...

業界業況

【半導体用ターゲット】

2025年上半期(1-6月)を総括すると、AI関連投資に伴って需要が拡大している高性能チップの牽引により回復の度合いを強めた一方、地政学に加え米国関税影響による世界経済への先行き不透明感が増した期間であった、といえる。

WSTS(世界半導体市場統計)は、2025年春季予測において、2024年が前年比+19.7%となったことに対して、2025年は前年比+11.2%と二桁成長が維持されるものと予測している。WSTSはその後の予測をまだ改訂していないが、SIA(米国半導体工業会)によると2025年第2四半期(4-6月)は、前年同期比で約+20%と堅調な結果であった。製品別でみると、ロジックはAIの恩恵で引き続き高成長で推移しており、メモリは低調なNANDが一部打ち消すも、DRAMのHBM需要による高い伸びによりロジック同様の二桁成長で推移している。また、パワーディスクリートやMCUにおいては、前年割れとなった月もあるものの、回復基調であり底を打った感が出た。

上半期の数字の仕上がりは上述の通りであるが、関税影響による製品の前倒し需要も本時期に起こっており、本回復傾向に持続性があるかどうかは予断ができない。実際SEMIが7月に発表した半導体ICチップの在庫金額予測によると、2024年10-12月期と比べると足もとにかけて在庫が積み増されており、前年比では2025年1-3月期+6%、4-6月期+9%、7-9月期+7%と、在庫積み増しの基調となっている。半導体サプライチェーン上の本基調を鑑みても、地政学リスクや関税影響が一定の影響を及ぼしているといえる。

【HDD(ハードディスクドライブ)用ターゲット】

各調査機関によると、HDDの年間合計生産台数は、2024年1億2,477万台(前年比3.5%増)から2025年1億2,888万台(同3.3%増)に微増で推移すると予想される。HDDは、2025年もデータセンター向けで成長が見込まれるものの、ノート・デスクトップPC、外付HDD等の2.5インチ及び3.5インチ需要の減少が続き、HDD全体の生産台数は緩やかな成長に留まる見込み。

特にHDD用ターゲット需要を牽引するデータセンター向けニアラインHDDの生産台数(全体の5-6割程度)は、2024年6,312万台(前年比41.8%)から2025年7,420万台(同17.6%増)と引き続き堅調な成長が予想される。

GoogleやAmazonといったハイパースケーラーによる生成AI関連やデータセンターへの旺盛な投資を背景に、HDDの需要は底堅く推移しており、2025年も各社がフル生産体制を維持する見込みである。また、HDDに関連するサプライチェーンの中には生産能力がひっ迫しているメーカーもおり、部材供給がタイトな状況が続いている。HDD各社は高容量プログラムへのシフトや生産効率の向上によって、旺盛なデータ需要に対応している。

【FPD用ターゲット】

2025年上半期(1~6月)のTV用パネル出荷は、前3ヵ月は24年から続く中国政府による家電等の買い換え補助金政策による需要喚起や、米国関税政策による影響回避のための前倒し需要により、過去と比較して好調に推移した。後3ヵ月はその反動により需要は弱含み、25年上半期としては、近年のうち最低水準の出荷量となったようである。

2025年下半期(7~12月)のTV用パネル出荷は、いよいよ米国関税政策による影響がTV需要にも大きな下押し影響を与えることが懸念され、パネルメーカー各社共に慎重な先行き見通しとなっている。

数量ベースでは通年での前年比マイナスが予想されるなか、より大型パネルを搭載したTVへのシフトは続いており、パネル面積ベースでは緩やかな成長となると思われる。

中小型パネルに関して、上半期(1~6月)は緩やかな成長が継続する結果となったが、特にスマホ用途ではパネル技術方式による明暗が分かれている。有機EL(OLED)は中華スマホへの採用が需要を牽引しているが、フレキシブルタイプのOLEDは引き続き出荷を伸ばしているものの、リジットタイプの出荷は減少している。また、LTPO技術を採用するOLEDの伸長により、LTPS技術を採用するLCDはシェアを一段と失っている一方、汎用なアモルファス技術を採用するLCDパネルは、低価格スマホ向けの新興国需要が底堅く、出荷量が伸びて来ている。

米国関税政策の影響を避けるため前3ヵ月は前年同期と比較しても出荷量は伸びたが、その後はその反動で出荷量が減少に転じたようである。下半期に関しては関税による需要影響次第と思われる。

2025年上半期(1~6月)の透明導電膜用ITOターゲット需要は、特に前半は中国の景気刺激策、米国関税政策の不透明感による在庫の積み上げの動きにより堅調であったが、後半は中国メーカーによる積極的な生産調整もあり、結果、前年同期と比較して横這いであった。

ITOの主原料であるインジウムの相場は、上半期(1~6月)は1月にHigh価格 390ドル/kg、Low価格 340ドル/kg近辺を推移していたが、その後、一時期、High価格が400ドル/kgを上回る水準にまで上昇したが、パネル需要の調整もあり足元は少し下落し、High価格 390ドル/kg、Low価格 360ドル/kg近辺となっている。2025年下半期(7~12月)は、米国関税政策の影響もありTV等のFPDパネルの需要の低迷から、透明導電膜用ITOターゲット需要も弱含むことが予想される。

活動概要

・協会会員外のターゲットメーカーにも広く調査協力を呼びかけ、ターゲットの市場規模調査を実施し、業界動向についての基礎資料の充実を図りました。 ・ITO等の取り扱い作業による健康障害防止策に関する技術指針や特定化学物質障害予防規則等の改正について、情報収集を行いました。 ・新金属産業災害防止対策安...

活動概要

・協会会員外のターゲットメーカーにも広く調査協力を呼びかけ、ターゲットの市場規模調査を実施し、業界動向についての基礎資料の充実を図りました。
・ITO等の取り扱い作業による健康障害防止策に関する技術指針や特定化学物質障害予防規則等の改正について、情報収集を行いました。
・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に当たり、新規対象業種として統計類の整備、解析、ハザードの抽出、安全対策等に関する調査・提言を行いました。
・協会ホームページで部会活動、業界動向等の情報を広く発信するための議論を行い、発信内容を検討しました。

年表

1955年代
1959:キルビー(IT)特許
1959:プレーナ特許
1960年代
1960:MOFET発明
1963:CMOSトランジスター
1966:AC型PDP発表
1970年代
1971:TN-LCD発表
1973:液晶時計、電卓発表
1977:最初のパソコン
1979:aSi-TFT発表
1980年代
1984:STN-LCD実用化
1986:松下電器、TFT生産開始
1987:コダック社、有機EL基本特許
1989:松下電器、TFT量産開始
1990年代
1993:PDPテレビ量産開始
1997:フルカラー有機ELディスプレイ発表
2000年代
LTPS量産技術の確立
1970年代
1970年代TN液晶:電卓、時計
1980年代
1980年代STN液晶:携帯情報機器
1983:ITOターゲット販売開始
1986:密度70%アップITO
1988:低重圧スパッタ法開発により、一挙にITOターゲットが普及
1989:密度85%アップITO
1990年代
1990年代aSi-TFT液晶:パーソナルコンピュータ
1991:密度90%アップITO
1994:密度95%アップITO
1998:密度98%アップITO
2000年代
2000年代aSi-TFT/LTPS、高温ポリSi TFT:TV、携帯電話、PDA
1950年代
1956:最初のHDD(IBM)
1960年代
1960:レーザーの発明(Meiman)
1970年代
1970:Hunt磁気抵抗効果型ヘッドの発明
1972:レーザーディスク発表(Philips)
1978:レーザーディスク発売(日米)
1979:コンパクトディスク(CD)開発
19800年代
1985:CD-ROM普及
1988:MOディスク発売3.5インチタイプ容量
1990年代
1990:DVD用半導体レーザー開発1990:追記型 CD-R発売
1991:GMRヘッド材料の提案
1992:MD発売(ソニー)
1995:DVD規格統一
1996:DVDプレーヤー発売
1997:書換型CD-RW発売
1998:書換型DVD発売(松下)
2000年代
2000:青色半導体レーザー開発
2000:MDLP発売(ソニー)
2002:高記録密度Blue-ray Disc HD DVD規格成立
2003:ブルーレイレコーダー発売(ソニー)
2004:Hi-MD発売(ソニー)

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