社団法人新金属協会

業界業況

[概況-核燃料加工業界を取巻く事業環境-] 昨年の東日本大震災とそれに伴う福島第一原子力発電所における事故の発生により原子力発電を取巻く社会環境が大きく変化したことを踏まえた、国のレベルでの様々な動きがある。主なものは次の通りである。 ○原子力大綱の見直し 国の原子力政策の基本方針となるもので...

業界業況

[概況-核燃料加工業界を取巻く事業環境-]
昨年の東日本大震災とそれに伴う福島第一原子力発電所における事故の発生により原子力発電を取巻く社会環境が大きく変化したことを踏まえた、国のレベルでの様々な動きがある。主なものは次の通りである。
○原子力大綱の見直し
国の原子力政策の基本方針となるもので、一旦作業が中断されていたが、本年7月の纏めを目途に検討が再開された。
○原子力安全行政組織の見直し
原子力安全・保安院が経産省から分離され、環境省に原子力規制庁が設置される。
○原子力安全規制関連法令の見直し
最新の知見を技術基準に取り入れ、既に許可を得た施設に対してもそれへの適合を義務付ける制度等が導入される。
○原子力防災体制の強化
原子力災害対策特別措置法が改定され、防災計画の見直し、資機材の整備等防災体制の強化を図る。
これらの一環で、停止中の原子力発電所の再稼働に当たっては安全に関する総合評価(ストレステスト)が必要とされ、現在9割以上の発電所が停止している。2月半ばには、関西電力大飯発電所3・4号機についてストレステストの評価が妥当であると保安院が判断するなど、再稼働に繋がる動きが出てきている。
 核燃料加工業界もこれら安全に係る見直し・強化の動きの当事者であり、加工部会にて意見交換をし、的確に対応するよう取り組んでいるところである。
 前回報告以降の主なトピックスは以下の通りである。
[ストレステストの実施](昨年11月~)
核燃料加工施設についても実施することが指示され、手法の統一等につき検討をした。それに基づき各社にて具体的展開中である。
[原子力安全・保安院からの説明会](2月)
 原子力安全規制関連の法令改正につき説明を受け、意見交換を通じ理解を深めた。業界としても社会的な信頼を回復する機会と捉え、改正の趣旨を踏まえて安全・安心の更なる向上に繋げていく旨を表明した。
[ウラン廃棄物/クリアランス制度の運用]
 ウラン廃棄物処理処分の制度整備における課題のひとつであるクリアランス制度(放射線レベルが低く放射性廃棄物として扱う必要のない物を、再生利用や処分を可能とする制度)の運用開始に向けて、共通課題につき加工部会にてとりまとめ、規制当局との確認を進めている。

活動概要

3ヶ月に1回を定例とした核燃料加工部会では、国及び関係団体の動向、加工運営委員会とウラン廃棄物対策会議・ウラン廃棄物運営委員会についての情報交換、対応に対する意見交換を行い、核燃料加工業界共通の課題の解決を図りました。 部会傘下の各分科会(許認可、輸送、計量管理、ISA、5%超燃料の規制高度化検討、NR...

活動概要

3ヶ月に1回を定例とした核燃料加工部会では、国及び関係団体の動向、加工運営委員会とウラン廃棄物対策会議・ウラン廃棄物運営委員会についての情報交換、対応に対する意見交換を行い、核燃料加工業界共通の課題の解決を図りました。

部会傘下の各分科会(許認可、輸送、計量管理、ISA、5%超燃料の規制高度化検討、NRワーキング)では、各種規制に関する情報交換、対応策を検討し、関係省庁との折衝を行いました。その他、関係機関で検討されている原子力法制のあるべき姿の提言に向けての協力や意見の申し入れを行うとともに、ウラン加工施設保安情報連絡会を行い、保安問題に関する業界共通の課題の解決を図りました。



原子力委員会による新原子力大綱の策定に当たり、内閣府に意見の具申を行うなど必要な協力を行いました。

(社)日本原子力技術協会の運営に協力するため、前年に続き核燃料加工関係会社から出向者を受け入れて、同協会に派遣しました。

ウラン廃棄物対策推進チームにおいては、(独)日本原子力研究開発機構、日本原燃(株)と協力し、(社)日本原子力学会の標準委員会にて、標準「ウラン取扱施設におけるクリアランス判断方法」を制定すべく、ウラン・TRU取扱施設クリアランスレベル検認分科会における資料準備、標準案の作成に協力しました。同標準書は、原子力学会の原子燃料サイクル専門部会、標準委員会の審議を経て公衆審査の後、平成23年3月10日に標準委員会にて標準の制定が決議されたことから、今後刊行される予定です。

資源エネルギー庁原子力立地・核燃料サイクル産業課から三菱マテリアル㈱が受託した「回収ウラン利用技術開発調査」に関し、同社からの一部再委託により支援業務を実施しました。既存再転換・燃料加工プロセスの概要と再生濃縮ウラン取り扱いに関する影響評価に係る基礎資料を取りまとめ、平成23年2月に報告書を作成、提出しました。

ウラン廃棄物のクリアランス実施及び処理処分の安全確保を構築する上で必要となる基礎知見の収集を目的に、㈱国際広報企画に調査を委託、検討結果の報告を受けるとともにウラン廃棄物処理処分検討会を開催して専門家との意見交換を行いました。

原子力産業の安全性向上と信頼回復を目指して設立された世界核燃料加工安全ネットワーク( INSAF )の運営に協力しました。また、第10回総会を日本で開催することが決まり、INSAF連絡会が主催して平成22年11月に茨城県東海村でこれを開催、総会を初めウラン作業部会、INSAF運営委員会、セミナー、施設見学を実施しました。

(独)日本原子力研究開発機構の材料実験炉JMTRの運営・利用料金に関する委員会への対応をしました。

原子力安全・保安院から原子力事業に長年従事し、安全確保、向上に功績のある者を対象とした「原子力エネルギー安全実務功労者表彰」の推薦依頼があり、核燃料加工部会から1名の推薦を行った結果、受賞が決定し、平成22年5月経済産業大臣表彰が行われました。

年表

1955年代
1955:原子力基本法・原子力委員会設置法公布
1955:工業技術院地質調査所、人形峠でウラン鉱床発見
1956:科学技術庁、原子力委員会発足
1956:日本原子力研究所・原子燃料公社発足
1956:日本原子力産業会議発足
1956:国際原子力機構(IAEA)憲章に調印、IAEA発足(1957)
1957:原子炉等規制法公布
1957:日本第1号原子炉、原研JRR-1臨界わが国で初めて原子の火がともる
1959:日本原子力学会創立
1960年代
1961:原子力損害の賠償に関する法律公布
1963.10.26:原研動力試験炉JPDRの発電試験に成功(日本で初の原子力発電)
1964:電気事業法公布
1964:「原子力の日」制定、開始
1964:原子力安全研究協会設立
1965年代
1966:日本原子力発電・東海発電所営業運転開始(ガス冷却炉・国内初の商業用原子力発電所)
1967:動力炉・核燃料開発事業団発足
1968:第1回原産年次大会開催
1969:原子力船「むつ」進水
1970年代
1970:日本原子力発電・敦賀発電所運転開始(国内初の沸騰水(BWR)型)
1970:関西電力・美浜発電所1号機営業運転開始(国内初の加圧水(PWR)型)
1971:東京電力・福島第一原子力発電所1号機(BWR)営業運転開始
1973:仏高速増殖原型炉「フェニックス」臨界
1973:通商産業省資源エネルギー庁設置
1974:電源三法公布
1975年代
1976:核不拡散条約(NPT)批准
1976:科技庁に原子力安全局設置
1977:高速増殖実験炉「常陽」臨界
1977:米国エネルギー省(DOE)発足
1978:原子力安全委員会発足
1979.3.28:米国スリーマイルアイランド(TMI)原子力発電所で事故
1980年代
1980:廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約(ロンドン条約)、わが国について発効
1981:原子力安全委員会、初の原子力安全白書をまとめる
1984:UF6積載仏貨物船「モン・ルイ号」ベルギー沖で衝突沈没
1985年代
1985:仏高速増殖実証炉「スーパーフェニックス」初臨界達成
1986.4.26:ソ連チェルノブイリ原子力発電所4号機で事故
1987:原子力発電安全月間創設
1989:世界原子力発電業者協会(WANO)設立
1990年代
1992:日本原燃サービス、日本燃産業と合併、日本原燃が発足
1992:国際原子力評価尺度(INES)の導入
1992:日本原燃、六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センター操業開始
1994:英国再処理工場「THORP」運転開始
1994:高速増殖原型炉「もんじゅ」臨界を達成
1995年代
1995:朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)設立
1995:高速増殖原型炉「もんじゅ」ナトリウム漏れ事故
1998:日本原電、東海発電所営業運転停止
1998:核燃料サイクル開発機構発足
1999.9.30:ウラン燃料加工施設(JCO)で臨界事故
1999:ニュークリアセイフティーネットワーク(NSネット)設立
2000年代
2000:原子力バックエンド対策専門部会ウラン廃棄物分科会が設置、4~12月まで11回開催
2001:中央省庁再編経済産業省に原子力安全・保安院が発足
2001:米国同時多発テロ事件
2002:京都議定書を締結
2002:米ネバダ州ユッカマウンテンを高レベル放射性廃棄物の最終処分場とすることが決定
2003:北朝鮮、核兵器不拡散条約(NPT)脱退を宣言
2003:独立行政法人原子力安全基盤機構発足
2005年代
2005:有限責任中間法人日本原子力技術協会発足(電力中央研究所、原子力情報センターおよびNSネットの機能を統合・再編)
2005:核燃料サイクル開発機構、日本原子力研究所との統合で、独立行政法人日本原子力研究開発機構が発足
1955年代
1954:ウラン鉱の選鉱試験(三菱金属鉱業)
1955~57:二酸化ウラン粉末の製造研究開始(各社)
1956:金属ウラン精錬の製造研究開始(古河)
1957~58:二酸化ウランペレットの製造研究(住電工、古河)
1958:アルミニウム‐ウラン系セラミック燃料の製造研究(東芝)
1959:原子燃料の研究開発(三菱原子力工業)
1959:二酸化ウラン燃料の各種製造法研究(古河)
1959:六ふっ化ウランの小規模生産に関する研究開始(住鉱山)
1960年代
1960:原子燃料再転換・成型・組立・加工開発(三菱金属鉱業、三菱原子力工業)
1960:燃料棒の製造研究(住電工)
1960:高密度二酸化ウラン燃料素子の原子炉による照射試験(東芝)
1961:軽水炉用燃料被覆管の動的腐食に関する試験研究(東芝)
1962:振動重填法による燃料棒の製造研究(東芝、日立、住電工)
1962:溶媒抽出法による六ふっ化ウランから二酸化ウランへの転換技術開発(住鉱山)
1964:沸騰水型原子炉(BWR)用燃料集合体組立技術開発(東芝)
1964:二酸化ウラン燃料照射試験(東芝)
1964:照射試験による軽水炉燃料開発(日立)
1964:高温ガス炉用被覆粒子燃料の製造研究(古河)
1965年代
1965:原子力船「むつ」燃料製作(三菱原子力工業)
1965:ダイナパックによる高密度二酸化ウラン粒子の製造試験研究(東芝)
1966:商業用原子力発電開始(発電設備容量:16.6万kW)
1970年代
1970:国産初のPWR燃料(14×14)を関電・美浜発電所へ納入(三菱原子力工業)
1971:国産初のBWR燃料(7×7)を原電・敦賀発電所へ納入(JNF)
1974:科学技術庁と加工事業者による核燃料加工事業者連絡会発足
1975年代
1976:国産BWR8×8被覆管使用開始
1976:ATR燃料の初納入
1978:新金属協会内に核燃料加工部会発足(核燃料加工事業者連絡会発展解消)
1978:動燃人形峠ウラン濃縮パイロットプラント第1期運転開始(1,000台稼動)
1978:累積原子力発電設備容量:1,066.2万kW(17基)
1980年代
1980:原子力安全委員会「ウラン加工施設安全審査指針」を決定
1985年代
1985:累積原子力発電設備容量:2,056.1万kW(28基)
1986:日立、東芝および三菱重工による軽水路部会が発足
1988:日本原燃産業ウラン濃縮工場着工
1990年代
1990:累積原子力発電設備容量:3,038.0万kW(38基)
1992:加工4社による「ウラン廃棄物処理処分推進会議」設置
1992:日本原燃、ウラン濃縮工場操業開始
1993:日本原燃、第1回製品ウラン出荷
1994:濃縮UF6のASTM仕様改訂のC-26委員会に参画
1994:累積原子力発電設備容量:4,036.6万kW(48基)
1995年代
1995:加工4社で欧米におけるウラン廃棄物処理処分に関する調査を実施(団長:MNF中野常務取締役)
1997:原研高温工学試験研修炉(HTTR)用燃料の初納入
1999:ウラン廃棄物初処理処分推進チームの専用事務所として新金属協会分室を開設
2000年代
2004:累積原子力発電設備容量:4,712.2万kW(53基)
2005年代
2005:累積原子力発電設備容量:4,822.2万kW(54基)
1955年代
1958:三菱原子力工業設立
1959:住友原子力工業設立
(二酸化ウラン粉末とペレット)
1960年代
1961:三菱、東海村に原子燃料用地取得
1961:古河、東海村に原子燃料用地取得
1964:住電工・熊取研究所、核燃料製造研究施設開設
1965年代
1966:日本ニユクリア・フユエル、設立事務所開設
1967:米GE、東芝、日立製作所により、日本ニユクリア・フユエル(JNF)設立、核燃料加工事業許可(1968)
1969:住電工 核燃料加工事業許可
1965年代
軽水炉用燃料の変遷
1970年代
1970:PWR15×15型、17×17型燃料開発
1970:BWR型国産初7×7燃料製造開始
1973:BWR型国産初7×7燃料実用化
1970:JNF久里浜工場竣工、操業開始
1971:米WH、三菱重工、三菱マテリアルにより、三菱原子燃料(MNF)設立、核燃料加工事業許可(1972)
1972:古河電気工業、住友電気工業により、原子燃料工業(NFI)設立
1973:住友金属鉱山東海工場完成
1980年代
1980:PWR燃料濃縮度上昇(3.4w/o→3.6w/o、Gd(6w/o)入り燃料開発)
1980:NFI東海製造所完成、操業開始
1983:MNF、燃料加工試験棟完成
1985年代
軽水炉用燃料の変遷~信頼性向上
1985:BWR新型8×8燃料実用化(ウォータロッド2本、取出平均燃焼度:約29.5GWd/t)
1987:BWR新型8×8燃料(ステップⅠ)実用化(ジルコニウムライナ被覆管、取出平均燃焼度:約33GWd/t)
1988:MNF、加工棟(ガドリニア入燃料製造工場)完成
[出典]平成15年度高燃焼度9×9型燃料信頼性実証成果報告書(原子力安全基盤機構発行)
1990年代
経済性向上・燃料の高燃焼度化
1990:PWR最高集合体平均燃焼度48GWd/t燃料(ステップ1)実用化(低SnZr-4管採用)
1991:BWR新型8×8燃料(ステップⅡ)実用化(太径ウォータロッド1本、取出平均燃焼度:約39.5GWd/t)
1997:JFN、創立30周年。ISO9002、14001認証取得(1998~99)
1996:MNF、ISO9002認証取得
1998:MNF、本社を東海村へ移転
1998:NFI(東海)、ISO9001認証取得
1998:日本核燃料コンバージョン(JCO)、ジェー・シー・オーに社名変更
1999:NFI(熊取)ISO9001、ISO14001認証取得
1995年代
燃料の高燃焼度化
PWR最高集合体平均燃焼度55GWd/t燃料(ステップ2)開発(ジルコニウム基合金被覆管、大粒形ペレット
1999:BWR新型9×9燃料(ステップⅢ)実用化(取出平均燃焼度:約45GWd/t)(A型:燃料棒74本、太径ウォータロッド2本)(B型:燃料棒72本、角形ウォータチャンネル)
1997:JFN、創立30周年。ISO9002、14001認証取得(1998~99)
1996:MNF、ISO9002認証取得
1998:MNF、本社を東海村へ移転
1998:NFI(東海)、ISO9001認証取得
1998:日本核燃料コンバージョン(JCO)、ジェー・シー・オーに社名変更
1999:NFI(熊取)ISO9001、ISO14001認証取得
2000年代
軽水炉用燃料の変遷~燃料の高燃焼度化
2004:PWR最高集合体平均燃焼度55GWd/t燃料(ステップ2)実用化(大粒形ペレット、ジルコニウム基合金被覆管、高濃度Gd入りペレット)
2000:米GE、東芝、日立の3社による国際燃料加工合弁会社「グローバル・ニュークリア・フュエル(GNF)」発足
2000:JNF、ISO9001認証取得
2001:JNF、グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン(GNF-J)に社名変更
2001:MNF、創立30周年
2001:NFI(東海)、ISO14001認証取得
2002:MNF、ISO14001認証取得
2002:NFI、創立30周年
2003:GNF-J、本社を横須賀市へ移転
2004:NFI(東海)、OHSAS18001認証取得
2005年代
2005:BWR高性能9×9燃料の開発(取出平均燃焼度:約50GWd/t)

会員企業