一般社団法人新金属協会

ターゲット部会

業界業況

【半導体用ターゲット】 2023年の半導体市場を総括すると、前回機関紙でも記載した、コロナ特需の終焉、地政学的懸念、および世界的なインフレーションの進行を要因として、多くの製品でマイナス成長となった。WSTSは、2023年秋季予測において、2023年は前年比-9.4%の2019年以来となるマイナス成...

業界業況

【半導体用ターゲット】

2023年の半導体市場を総括すると、前回機関紙でも記載した、コロナ特需の終焉、地政学的懸念、および世界的なインフレーションの進行を要因として、多くの製品でマイナス成長となった。WSTSは、2023年秋季予測において、2023年は前年比-9.4%の2019年以来となるマイナス成長を予測した。特にメモリは前年比-31.0%と製品別にみても最大の減少と見ている。

2023年は需要の減退に加えて、それによるサプライチェーンの在庫調整も市場の下押し要因として大きかった。2024年はそうした在庫調整が一巡する一方で、これまで市場の牽引役であったPCやスマホは買い替えサイクルにより2024年以降はプラス転換するものの、本格回復には時間がかかる可能性は高く、また、生成AI需要が急増しているとはいえサーバー全体の未だ3%程度と効果が限定的で、それがサーバー全体の回復を押し上げるほどではない。ただし、データトラフィック増を背景に既存サーバーへの投資が2024年に回復するとの期待はある。以上のように、インフレの減速が前提にはなるが、アプリケーション需要の大幅回復は期待できないものの緩やかな回復はあり、加えて在庫調整が落ち着くことにより、2024年の半導体市場は前年から回復するとみている。

WSTSでは2024年の市場動向として、前年比+13.1%の再拡大を予測している。生成AI関連やパワーディスクリートの需要が引き続き成長することに加え、電子機器全般の需要が拡大するとの想定から、春季予測時の+11.8%から上方修正となっている。ドルベースでの製品別の市場では、全ての製品において前年比プラス成長としており、全体でも過去最高であった2022年を超える予測としている。

半導体用ターゲットとしても、以上の市場状況と相関する形で、2024年での回復を予測している。

【HDD(ハードディスクドライブ)用ターゲット】

各調査機関によると、HDDの出荷台数は、2023年約1億2,280万台(前年比28.7%減)から2024年1億2,440万台(同1.3%増)に微増と予想される。HDDは、ノート・デスクトップPC、外付HDD等の2.5インチ及び3.5インチ需要は漸減傾向だが、2024年に入ってからデータセンター向けで回復が見られており、2024年の出荷台数は微増見込み。

また、データセンター向けニアラインHDD(NL HDD)の出荷台数は、2023年約3,970万台(前年比35.4%減)から2024年4,960万台(同24.9%増)に増加に転じると予想される。これは、2022年後半から続くニアライン市場での過剰在庫が2023年末に正常化した模様である。

一方、ハイパースケーラーでは、生成AI関連への投資が優先され、HDDへの本格的な投資までは至っていないため、24年中は緩やかな回復が続くと見られている。いずれにせよ、ニアラインHDD用途が牽引するHDD用ターゲット需要は、データ需要の伸びに伴い中期的には堅調に推移すると見込まれている。

【FPD用ターゲット】

2023年上半期(1~6月)のTV用パネル出荷は、世界的なインフレの継続、中国でのゼロコロナ政策解除後の個人消費の低迷など様々な要因により、世界の主要市場でTVの小売需要の回復が見られず、出荷枚数は前年同期より減少する事になった。

2023年下半期(7~12月)のTV用パネル出荷も、世界経済の停滞や、インフレの継続により、消費者がTVなど電子機器の購入を控える傾向は変わらず、末端市場の低迷を受け、TVブランド各社はパネル発注量を抑えた。一方で、パネルメーカー各社はパネル価格の値上げを進める為に稼働率を引き続き管理しており、結果、パネル出荷枚数は前年同期より減少、通年でも出荷枚数は前年より減少となり、市場の成長は見られなかった。今後はインフレ圧力の緩和で緩やかな経済回復の見通しや、パリ五輪や欧州サッカー選手権など大型スポーツイベントのTV観戦需要への期待から、回復も期待される。

中小型パネルに関しては、新型コロナウイルスでの行動制限が世界全体で緩和され、モバイル端末の需要増加により、スマホ需要も回復したため、スマホ用パネル出荷は通年で前年同期より増加となった。また、ノートPC用パネル出荷は、新型コロナウイルス拡大の影響による在宅特需が一段落し、経済減速やインフレ圧力等の影響で末端市場の需要は弱く、パネル出荷枚数は前年同期より減少の結果となった。今後はインフレの緩和や米国の利下げが予想されることや、マイクロソフト社の新OS「Windows 11」の登場などの要素を背景に、企業向け、コンシューマ向けを問わず、買い替え需要が期待される。

2023年の透明導電膜用ITOターゲット需要は、TVやノートPCなど末端製品の需要低迷により、パネル価格の大幅な下落から、パネルメーカー各社が稼働率を下げ、価格上昇を図っている為、ITOターゲット需要も、前年同期より減少の結果となった。ITOの主原料であるインジウムの相場は、上半期(1~6月)はLow価格で200ドル/kg近辺を推移し、落ち着いていたが、下半期(7~12月)は相場上昇が見られ、足元Low価格で230ドル/kg近辺をつけている。今後は、末端市場の緩やかな回復に伴い、ターゲット需要も回復する事が期待されるが、パネルメーカーはパネル価格維持のため、稼働率調整を継続すると見られ、回復の度合いは緩やかなものとなると思われる。

活動概要

・協会会員外のターゲットメーカーにも広く調査協力を呼びかけ、ターゲットの市場規模調査を実施し、業界動向についての基礎資料の充実を図りました。 ・ITO等の取り扱い作業による健康障害防止策に関する技術指針や特定化学物質障害予防規則等の改正について、情報収集を行いました。 ・新金属産業災害防止対策安...

活動概要

・協会会員外のターゲットメーカーにも広く調査協力を呼びかけ、ターゲットの市場規模調査を実施し、業界動向についての基礎資料の充実を図りました。
・ITO等の取り扱い作業による健康障害防止策に関する技術指針や特定化学物質障害予防規則等の改正について、情報収集を行いました。
・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に当たり、新規対象業種として統計類の整備、解析、ハザードの抽出、安全対策等に関する調査・提言を行いました。
・協会ホームページで部会活動、業界動向等の情報を広く発信するための議論を行い、発信内容を検討しました。

年表

1955年代
1959:キルビー(IT)特許
1959:プレーナ特許
1960年代
1960:MOFET発明
1963:CMOSトランジスター
1966:AC型PDP発表
1970年代
1971:TN-LCD発表
1973:液晶時計、電卓発表
1977:最初のパソコン
1979:aSi-TFT発表
1980年代
1984:STN-LCD実用化
1986:松下電器、TFT生産開始
1987:コダック社、有機EL基本特許
1989:松下電器、TFT量産開始
1990年代
1993:PDPテレビ量産開始
1997:フルカラー有機ELディスプレイ発表
2000年代
LTPS量産技術の確立
1970年代
1970年代TN液晶:電卓、時計
1980年代
1980年代STN液晶:携帯情報機器
1983:ITOターゲット販売開始
1986:密度70%アップITO
1988:低重圧スパッタ法開発により、一挙にITOターゲットが普及
1989:密度85%アップITO
1990年代
1990年代aSi-TFT液晶:パーソナルコンピュータ
1991:密度90%アップITO
1994:密度95%アップITO
1998:密度98%アップITO
2000年代
2000年代aSi-TFT/LTPS、高温ポリSi TFT:TV、携帯電話、PDA
1950年代
1956:最初のHDD(IBM)
1960年代
1960:レーザーの発明(Meiman)
1970年代
1970:Hunt磁気抵抗効果型ヘッドの発明
1972:レーザーディスク発表(Philips)
1978:レーザーディスク発売(日米)
1979:コンパクトディスク(CD)開発
19800年代
1985:CD-ROM普及
1988:MOディスク発売3.5インチタイプ容量
1990年代
1990:DVD用半導体レーザー開発1990:追記型 CD-R発売
1991:GMRヘッド材料の提案
1992:MD発売(ソニー)
1995:DVD規格統一
1996:DVDプレーヤー発売
1997:書換型CD-RW発売
1998:書換型DVD発売(松下)
2000年代
2000:青色半導体レーザー開発
2000:MDLP発売(ソニー)
2002:高記録密度Blue-ray Disc HD DVD規格成立
2003:ブルーレイレコーダー発売(ソニー)
2004:Hi-MD発売(ソニー)

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