【半導体ターゲット】 2022年の半導体市場は前半と後半で全く異なる様相を見せた。前半は2021年の流れを引き継いで好調が継続していたが、後半は、自動車向けや産業向けの需要が底堅かったものの、インフレの更なる進行やウクライナ情勢の長期化などが影響し、個人消費の落ち込みによる半導体需要の低迷が始まった...
【半導体ターゲット】
2022年の半導体市場は前半と後半で全く異なる様相を見せた。前半は2021年の流れを引き継いで好調が継続していたが、後半は、自動車向けや産業向けの需要が底堅かったものの、インフレの更なる進行やウクライナ情勢の長期化などが影響し、個人消費の落ち込みによる半導体需要の低迷が始まった。WSTSの春季予測では、22年は前年比16.3%という成長見込みであったものの、秋季予測では同前年比4.4%成長と大幅な減速見込みとしている。
2023年に関しては、WSTSが前年比-4.1%と2019年以来のマイナス成長を予測しているように、半導体市場にとっては厳しい状況が続く見込み。自動車向けでは電動化の進展により一定の需要増が見込まれるものの、需要を大きく左右する個人向けの電子機器(スマートフォン、PC、家電等)用途などは低迷が続き、ロジックやメモリはそれ自体の在庫調整も相俟って、23年中の需要回復の期待は大きくはない。実際に、多くの半導体企業で大幅な生産調整が実施されている報道もある。一方で、AIやディープラーニングといった今後の期待用途の広がりも徐々に見られていることから、良い意味で予測を裏切り早期回復を期待できる動きもある。中期的には、更なるIoT化進展、脱炭素・再エネへの取り組み加速、自動車・電子機器の高度化が続き、半導体需要が増大することはほぼ間違いなく、現時点では各半導体メーカーにおいても将来的な投資計画の大幅な見直しまでは至っていない。
他方、地政学的な観点では、22年10月に米国による追加対中規制が発表され、半導体をめぐる米中間の対立はますます深まっており、日系の半導体装置・部材メーカーにおいても対中ビジネスへの影響が出ている、あるいは今後日本政府が米国に追従することで影響が出てくるところもある見込み。中国では引き続き国内半導体産業の育成に注力し、実際に新興半導体メーカーが次々と勃興している状況。日系装置・部材メーカーとしては、米国・中国の狭間でうまく立ち回っていく必要があると言える。
【HDD(ハードディスクドライブ)用ターゲット】
各調査機関によると、HDDの出荷台数は、2022年約1億7,220万台(前年比33.6%減)から2023年1億4,320万台(同16.8%減)に減少と予想される。HDDは、2023年に入ってもノートPC、外付HDD、監視カメラの需要減が続いてきており、2023年の出荷台数も減少傾向は続く見込み。
また、データセンター向けニアラインHDD(NL HDD)の出荷台数は、2022年約6,240万台(前年比15.1%減)から2023年6,080万台(同2.6%減)に減少に転じると予想される。これは、2022年から続く中国市場での中低容量帯の低迷、さらに欧米市場での高容量帯の調整が継続していることが影響している。一部のHDDメーカーでは年初から生産回復の兆しを見せているが、2023年後半に向けてどこまで市場全体が回復するかは引き続き注視が必要な状況。ただ、ニアラインHDD用途が牽引するHDD用ターゲット需要は、データ需要の伸びに伴い中期的には堅調に推移すると見られている。
【FPD用ターゲット】
2022年上半期(1~6月)のTV用パネル出荷は、ロシアによるウクライナ侵攻、世界的なインフレの加速、米国をはじめとする先進国における利上げ、中国のロックダウン政策などの様々な要因により、主要市場の米国、欧州、中国において消費者の購買意欲が低下し、需要の盛り上がりが見られず、TVブランドでは韓国サムスン電子がパネルをはじめとするTV用部材の調達を一時見合わせる状況も発生するなど、出荷枚数は前年同期並みの水準にとどまった。
2022年下半期(7~12月)のTV用パネル出荷も、ロシア・ウクライナ戦争の長期化や、インフレの継続により、消費者がTVなど電子機器の購入を控える傾向は変わらず、パネル需給の緩和に伴い、パネル価格は現金コストを割り込む程の歴史的な価格下落に陥り、パネルメーカー各社は収益改善の為に減産を行った事から、パネル出荷枚数は前年同期と横ばいの水準となり、通年でも出荷枚数は前年同期並みの水準で、市場の成長は見られなかった。今後は2022年末に中国のゼロコロナ政策の解除に伴い、中国市場での需要回復の期待もあるが、先進国での利上げ継続による世界経済の減速などの影響から、TV市場も成長軌道への回帰も難しく、出荷枚数の見通しは弱含む展開が予想される。
中小型パネルに関しては、上述のTV用パネルと同様に、ロシア・ウクライナ戦争によるインフレ加速や景気減速に伴い、多くの消費者が電子機器への消費を控えている事から、スマホ需要も低迷し、スマホ用パネル出荷は通年で前年同期より減少となった。また、ノートPC用パネル出荷は、新型コロナウイルス拡大の影響による在宅特需が一段落し、コンシューマ向け、ビジネス向けも共に消費は落ち込み、パネル出荷枚数は前年同期より大幅な減少の結果となった。今後は、新型コロナウイルスの制限緩和がコンシューマ向け電子機器の市況にとって刺激になる事が期待されるが、世界経済の減速により政府、個人ともにノートPCなどIT設備の購入を控える傾向が懸念され、市況反転の兆しが見えづらい状況が続いている。
2022年の透明導電膜用ITOターゲット需要は、TVやノートPCなど末端製品の販売低迷に伴い、パネル供給過剰の状況が続き、パネル価格は大幅な価格下落となり、パネルメーカー各社が減産調整を行った事から、ITOターゲット需要は前年同期より減少の結果となった。ITOの主原料であるインジウムの相場は、上半期(1~6月)はLow価格で240ドル/kg近辺を推移していたが、下半期(7~12月)は下落基調が進み、足元Low価格で200ドル/kg近辺をつけている。今後の透明導電膜用ITOターゲット需要は、2022年のパネル市況の大幅な悪化からの緩やかな回復が期待されるが、パネル価格は依然安い価格水準で推移しており、今後もパネルメーカーの生産調整などの懸念があり、先行きは不透明な状況が続くものと思われる。
・協会会員外のターゲットメーカーにも広く調査協力を呼びかけ、ターゲットの市場規模調査を実施し、業界動向についての基礎資料の充実を図りました。 ・ITO等の取り扱い作業による健康障害防止策に関する技術指針や特定化学物質障害予防規則等の改正について、情報収集を行いました。 ・新金属産業災害防止対策安...
・協会会員外のターゲットメーカーにも広く調査協力を呼びかけ、ターゲットの市場規模調査を実施し、業界動向についての基礎資料の充実を図りました。
・ITO等の取り扱い作業による健康障害防止策に関する技術指針や特定化学物質障害予防規則等の改正について、情報収集を行いました。
・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に当たり、新規対象業種として統計類の整備、解析、ハザードの抽出、安全対策等に関する調査・提言を行いました。
・協会ホームページで部会活動、業界動向等の情報を広く発信するための議論を行い、発信内容を検討しました。