一般社団法人新金属協会

ターゲット部会

業界業況

【半導体用ターゲット】 2023年の半導体市場は、これまでのところデバイス別に明暗が分かれる結果となっている。コロナ特需の終焉、ウクライナ情勢・米中半導体摩擦等の地政学的な不安定さ、および世界的なインフレーションの進行により、2022年後半から続いている個人消費、特にスマートフォン、PC、民生機器の...

業界業況

【半導体用ターゲット】

2023年の半導体市場は、これまでのところデバイス別に明暗が分かれる結果となっている。コロナ特需の終焉、ウクライナ情勢・米中半導体摩擦等の地政学的な不安定さ、および世界的なインフレーションの進行により、2022年後半から続いている個人消費、特にスマートフォン、PC、民生機器の需要の低迷と、それに伴う半導体在庫の消費が進まないことで、メモリ、ロジック等IC製品は大きく減速している。一方で、電動化が進む自動車向けや再生エネルギー関連向けで必要とされるパワーディスクリートは、好調を維持し前年比でプラス成長を見込んでいる。

市場全体としては、こうした状況から、WSTSでは23年春季市場予測で前年比-10.3%のマイナス成長を予測しており、22年秋季予測の-4.1%から大きく下方修正を行っていることからも、市場の落ち込みが想定以上であったことが伺える。

2024年の半導体市場については、WSTSは世界経済が回復するという前提のもとで、ほとんどのデバイスが23年のマイナスから回復し再拡大するとみて、23年比11.8%増と予測している。自動車および再エネ用途でディスクリートの需要は24年も引き続き強く、ChatGPTに代表される生成AI向けGPUやサーバー需要が本格的に市場を牽引するのは数年先と見られているものの、直近でも一部ロジックの需要を押し上げる効果が期待されている。

米中摩擦に関連して、日本政府は7月に先端半導体向け製造装置など23品目の輸出規制対象製品への追加を行った。一方で中国は、その生産の大半を中国に依存している半導体等の材料となるガリウムとゲルマニウムの輸出規制を8月より始めた。今後、中国の輸出規制の対象が拡大していけば、半導体のサプライチェーンの混乱を招く可能性があり、それが世界経済へ与える影響が大きくなれば景気回復を阻害する要因となりうるため、今後の動向には一層注視が必要である。

半導体ターゲットとしても、以上の市場状況と相関した形で、23年は低調であるものの、24年での回復を予測している。

【HDD(ハードディスクドライブ)用ターゲット】

各調査機関によると、HDDの出荷台数は、2022年約1億7,220万台(前年比33.6%減)から2023年1億3,200万台(同23.3%減)に減少と予想される。HDDは、2023年後半に入っても、データセンター向けの調整が継続しており、それに加えノートPC、外付HDD、監視カメラ向け需要も弱く、2023年の出荷台数は減少見込み。

また、データセンター向けニアラインHDD(NL HDD)の出荷台数は、2022年約6,150万台(前年比16.3%減)から2023年4,790万台(同22.1%減)に減少と予想される。これは、データセンターを運営するハイパースケーラー向けの需要が低迷している影響が大きく、年後半にかけて市場が回復する場合でも回復ペースは緩やかで、本格回復は2024年と見られている。

ただ、中期的なHDD用ターゲット需要は、データ需要の伸びに伴い堅調に推移すると見込まれている。

【FPD用ターゲット】

2023年上半期(1~6月)のTV用パネル出荷は、世界経済の減速、世界的なインフレの継続、中国でのゼロコロナ政策解除後の個人消費の低迷など様々な影響により、消費者のTVの購買意欲は依然弱いままであり、出荷枚数は前年同期より減少する事になった。

2023年下半期(7~12月)のTV用パネル出荷も、世界経済の停滞や、インフレの継続により、消費者がTVなど電子機器の購入を控える傾向は変わらず、末端市場の需要は盛り上がりに欠ける事が予想される。また、パネルメーカー各社が収益改善にパネル価格の値上げを進める為に稼働率を引き続き管理しており、一方、TVブランド各社もパネルメーカーが値上げを進める中で、パネル価格の値上がりを販売価格に転嫁できない為、利益の薄いミドル・ローエンド機種の投入を減らす傾向も予想され、出荷枚数は引き続き弱含む展開が見通される。

中小型パネルに関しては、上半期(1~6月)は末端市場の需要低迷が続いたものの、パネル等部品の在庫調整により健全な在庫水準に戻った事、また、パネル価格が低水準で推移した事を受けて、スマホブランドの大手のみならず、中国のノーブランドが在庫積み上げを再開した事により、スマホ用パネル出荷は前年同期より増加の結果となった。また、ノートPC用パネル出荷は、新型コロナウイルス拡大の影響による在宅特需が一段落後、消費低迷が継続しており、ノートPCブランド各社は在庫調整を進めていた為、パネル出荷枚数は前年同期より減少の結果となった。

 2023年上半期(1~6月)の透明導電膜用ITOターゲット需要は、TVやノートPCなど末端製品の需要低迷による2021年下半期以降のパネル価格の大幅な価格下落から、2023年より一部品種でパネル価格が徐々に値上がりし、ITOターゲット需要は漸く回復の兆しが見られるが、前年同期より減少の結果となった。ITOの主原料であるインジウムの相場は、上半期(1~6月)はLow価格で200ドル/kg近辺を推移し、落ち着いていたが、下半期(7~12月)は相場上昇が見られ、足元Low価格で240ドル/kg近辺をつけている。2023年下半期(7~12月)は、FPD業界の市況悪化からの緩やかな改善により、今後の透明導電膜用ITOターゲット需要は増加する事が期待されるが、パネルメーカーは収益改善の為に生産調整や工場閉鎖などのキャパシティの制限の懸念もあり、先行きは不透明な状況が続くものと思われる。

活動概要

・協会会員外のターゲットメーカーにも広く調査協力を呼びかけ、ターゲットの市場規模調査を実施し、業界動向についての基礎資料の充実を図りました。 ・ITO等の取り扱い作業による健康障害防止策に関する技術指針や特定化学物質障害予防規則等の改正について、情報収集を行いました。 ・新金属産業災害防止対策安...

活動概要

・協会会員外のターゲットメーカーにも広く調査協力を呼びかけ、ターゲットの市場規模調査を実施し、業界動向についての基礎資料の充実を図りました。
・ITO等の取り扱い作業による健康障害防止策に関する技術指針や特定化学物質障害予防規則等の改正について、情報収集を行いました。
・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に当たり、新規対象業種として統計類の整備、解析、ハザードの抽出、安全対策等に関する調査・提言を行いました。
・協会ホームページで部会活動、業界動向等の情報を広く発信するための議論を行い、発信内容を検討しました。

年表

1955年代
1959:キルビー(IT)特許
1959:プレーナ特許
1960年代
1960:MOFET発明
1963:CMOSトランジスター
1966:AC型PDP発表
1970年代
1971:TN-LCD発表
1973:液晶時計、電卓発表
1977:最初のパソコン
1979:aSi-TFT発表
1980年代
1984:STN-LCD実用化
1986:松下電器、TFT生産開始
1987:コダック社、有機EL基本特許
1989:松下電器、TFT量産開始
1990年代
1993:PDPテレビ量産開始
1997:フルカラー有機ELディスプレイ発表
2000年代
LTPS量産技術の確立
1970年代
1970年代TN液晶:電卓、時計
1980年代
1980年代STN液晶:携帯情報機器
1983:ITOターゲット販売開始
1986:密度70%アップITO
1988:低重圧スパッタ法開発により、一挙にITOターゲットが普及
1989:密度85%アップITO
1990年代
1990年代aSi-TFT液晶:パーソナルコンピュータ
1991:密度90%アップITO
1994:密度95%アップITO
1998:密度98%アップITO
2000年代
2000年代aSi-TFT/LTPS、高温ポリSi TFT:TV、携帯電話、PDA
1950年代
1956:最初のHDD(IBM)
1960年代
1960:レーザーの発明(Meiman)
1970年代
1970:Hunt磁気抵抗効果型ヘッドの発明
1972:レーザーディスク発表(Philips)
1978:レーザーディスク発売(日米)
1979:コンパクトディスク(CD)開発
19800年代
1985:CD-ROM普及
1988:MOディスク発売3.5インチタイプ容量
1990年代
1990:DVD用半導体レーザー開発1990:追記型 CD-R発売
1991:GMRヘッド材料の提案
1992:MD発売(ソニー)
1995:DVD規格統一
1996:DVDプレーヤー発売
1997:書換型CD-RW発売
1998:書換型DVD発売(松下)
2000年代
2000:青色半導体レーザー開発
2000:MDLP発売(ソニー)
2002:高記録密度Blue-ray Disc HD DVD規格成立
2003:ブルーレイレコーダー発売(ソニー)
2004:Hi-MD発売(ソニー)

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