1. 2022年の実績 (1)2022年の半導体市場は、グリーン・デジタル関連需要の拡大により前半は堅調に推移したものの、後半以降はコロナ特需の一巡や中国ロックダウンと世界的なインフレによるマクロ景気の減速により、スマホ、PC、民生 向 けを中心に調整局面となったが、車載、産業向けは好調を継続し総合...
1. 2022年の実績
(1)2022年の半導体市場は、グリーン・デジタル関連需要の拡大により前半は堅調に推移したものの、後半以降はコロナ特需の一巡や中国ロックダウンと世界的なインフレによるマクロ景気の減速により、スマホ、PC、民生
向 けを中心に調整局面となったが、車載、産業向けは好調を継続し総合的にはプラス成長となった。WSTS統計によれば、2022年の金額ベースの市場規模は前年比3%増の5,741億ドルとなり過去最高を更新した。シリ
コ ンウエーハ出荷面積と相関があるIC半導体出荷個数についても前年比3%増の3,954億個となった。
(2)2022年の世界シリコンウエーハ市場は、半導体デバイスにおける調整の影響は軽微で、300mmはロジック、メモリ向共に高需要となり、200mmは車載、産業向けが好調であった。SEMI統計によると、2022年 の半導体用シリコンウエーハ出荷面積は前年比4%増の147億平方インチとなり過去最高を更新した。また、販売金額についても前年比10%増の138億ドルと過去最高を更新した。
(3)当部会集計の国内高純度シリコン統計によれば、2022年の国内単結晶生産は、世界シリコンウエーハ市場と同様に堅調に推移し、前年比9%増の11,360トンで前年に続いて過去最高を更新した。国内単結晶販売につい ても、前年比5%増の12,522トンと過去最高を更新した。海外向けが前年比9%増と伸長し8,388トンとなり、国内向けは前年比2%減の4,134トンであった。その結果、輸出比率は前年の65%から67%に拡大した。
2. 2023年の見通し
(1)2023年の半導体市場は、前半は2022年後半からの市況悪化の影響を受けるものの、車載、パワー関連(グリーン)は引き続き好調であり、後半は在庫調整の進展と各国の景気対策により半導体需要が回復に向かうことを 期待する。
(2)2022年秋季WSTS予測によれば、2023年の半導体市場は前年比4.1%減の5,566億ドルと4年振りのマイナス成長を予想している。地域別成長率としては、市場の6割を占めるアジア地域が7.5%減となる
が、他の地域では微増を見込んでいる。また、2023年のIC製品別では、メモリが17%減と大きく落ち込むものの、ロジックが1.2%減、マイクロが4.5%減に留まり、アナログは1.6%増を見込む。
(3)当部会は、2023年のシリコンウエーハ需要について、WSTSや各種予測も踏まえ、ロジック等先端品向けの需要継続や、車載、産業向けの好調持続などにより、通年では前年並みになると予測する。
(4)2023年の国内単結晶生産は、前半は半導体市況減速の影響を受けるものの、後半は半導体需要の回復を見込み、前年並みの11,360トンを予想する。同様に2023年の国内単結晶販売についても、前年並みの12,520トンを見込む。内海外向けが前年比1%増の8,470トン、国内向けは前年比2%減の4,050トンと予想する。また、輸出比率に関しては昨年より1%増の68%程度になると予想する。
多結晶需要についても、半導体向けシリコンウエーハ需要と同様に、前年並みの生産量になると予測する。
3. シリコン業界の課題
シリコン業界を取り巻く事業環境は、デジタル化社会の進展、極限までの半導体微細化追求と3次元化、米中対立や台湾有事等の地政学的リスク、中国シリコンメーカーの台頭等様々な構造変化が起こっており、更には世界的なインフレによる原材料高、国内固有の懸念事項として、世界的に割高な国内電力料金の問題もある。
シリコン部会加盟各社は、需要構造変化への対応と共に、最先端半導体の高精度要求を満たす品質高度化、生産性向上と合理化による不断のコスト低減に取り組むと共に、環境負荷軽減に向けたパワー半導体需要にも対応していく所存である。
新金属協会での活動として「半導体サプライチェーン材料規格研究会」と連携し、伸長するパワー半導体向けシリコン材料の標準化活動を経済産業省の支援を受け推進している。また、シリコン産業における人材確保への支援として若年層向けにYoutube等による広報活動を行っている。
〔今後のシリコン業界の課題〕
①需要構造変化と品質高度化への対応
1)最先端デバイスの高精度要求への対応
2)環境・省エネルギー用パワー半導体への対応
3)生産性向上と不断のコスト低減
②世界的に割高な国内電力料金への対応
③拡大する半導体市場への安定供給
④シリコン産業における人材確保
⑤顕在化する地政学的リスクに対応したサプライチェーンの多岐化・安定化
・シリコン部会では、業界共通課題の検討、関係官庁・団体等の動向に対する意見交換を行いました。 ・平成28年11月、経済産業省金属課及び情報通信機器課とシリコン各社トップの懇談会を開催しました。また、シリコン懇談会における話題等に関して、経済産業省金属課と意見交換をするとともに、必要に応じて課題解決に...
・シリコン部会では、業界共通課題の検討、関係官庁・団体等の動向に対する意見交換を行いました。
・平成28年11月、経済産業省金属課及び情報通信機器課とシリコン各社トップの懇談会を開催しました。また、シリコン懇談会における話題等に関して、経済産業省金属課と意見交換をするとともに、必要に応じて課題解決に取り組むこととしました。
・経済産業省の金属素材競争力強化プランの具体化に向けて、同省金属課が策定した「シリコン業界の産業戦略」について、特にシリコン産業の将来展望等に関し意見交換するなど、必要なフォローアップを行いました。
・再生可能エネルギー買い取り制度における賦課金減免制度の見直し議論に関して、資源エネルギー庁の説明会に出席して意見交換するとともに、経済産業省金属課からの各種調査要請に対応しました。
・非鉄金属7団体が共同で運営する学生リクルート向けホームページの維持、管理を行いました。
・年2回の新聞記者会見を開催しました。平成28年7月は、売上高、設備投資額等について、平成29年3月には生産量、販売量等を報告し、シリコン業界の現況を説明しました。また、記者会見開催時に経済産業省金属課と情報交換会を開催し、経済産業行政、業界動向について意見交換しました。
・シリコン技術委員会では、シリコン業界共通の技術課題の検討や技術動向に関する意見交換を行うとともに、(一社)電子情報技術産業協会(JEITA)やSEMIの会議に参加した委員と情報を共有しました。
・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に当たり、多結晶シリコンメーカーが主体となりフォローアップ調査を継続しました。
・協会ホームページで部会活動、業界動向等の情報を広く発信するための議論を行い、発信内容を検討しました。