一般社団法人新金属協会

シリコン部会

業界業況

1. 2020年の実績 (1)2020年の世界半導体市場は米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染拡大によるマクロ経済への影響が観られたものの、次世代通信規格5Gの本格化やテレワークなどデジタル化の加速によるPC・サーバー向け需要増により堅調に推移した。WSTS統計によれば、2020年の金額ベースの市...

業界業況

1. 2020年の実績

(1)2020年の世界半導体市場は米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染拡大によるマクロ経済への影響が観られたものの、次世代通信規格5Gの本格化やテレワークなどデジタル化の加速によるPC・サーバー向け需要増により堅調に推移した。WSTS統計によれば、2020年の金額ベースの市場規模は前年比6%増の4,391億ドルとなり、2019年の調整局面から回復基調となった。また、シリコンウエーハ出荷面積と相関があるIC半導体出荷個数についても前年比6%増の3,098億個となった。

(2)2020年の世界シリコンウエーハ市場は、半導体需要の回復に伴い全体では堅調に推移した。200mm以下はコロナ禍により民生、車載向けが軟化したものの、300mmはロジック、メモリ向け需要増で堅調となった。SEMI統計によると、2020年の半導体用シリコンウエーハ出荷面積は前年比5%増の124億平方インチとなり過去最高を記録した2018年に次ぐ出荷面積となった。販売金額は前年比微増の112億ドルとなり、1平方インチ当りの平均単価は前年比5%減の0.9ドルとなった。

(3)当部会集計の国内高純度シリコン統計によれば、2020年の国内単結晶生産は、シリコンウエーハ市場と同様に堅調に推移し、前年比微増の9,415トンになった。

国内単結晶の販売についても、前年比2%増の10,463トンであった。海外向けが前年比5%増と伸長し6,513トンになり、国内向けは前年比4%減の3,949トンとなった。その結果、輸出比率は前年の60%から62%に拡大した。

 

2. 2021年の見通し

(1)2021年の半導体市場は、米中貿易摩擦や新型コロナウイルス 感染拡大の影響が懸念されるものの、各国での感染対策や財政・金融政策による景気刺激策が期待され、次世代通信規格5Gの更なる拡大によるデータセンターの増強、自動車需要の回復と環境対応でのEV化推進による車載向け需要増などにより市場の伸長が見込まれている。

(2)2020年秋季WSTS予測によれば、2021年の半導体市場は前年比8%増の4,694億ドルに拡大し、過去最高を更新すると予想している。地域別成長率としては、市場の6割を占めるアジア地域が9%増と全体の成長を牽引すると予想されている。また、2021年のIC製品別では、ICの7割を占めるメモリ、ロジックが成長を牽引し、メモリが前年比13%増、ロジックが前年比7%増の成長を見込んでいる。

(3)当部会は、2021年のシリコンウエーハ需要について、WSTSや各種予測も踏まえ、PC・サーバー向けの需要拡大、車載向けの需要回復、先端品需要の拡大などにより、堅調に推移するものと予想する。

(4)2021年の国内単結晶生産は、300mmの更なる需要拡大と200mmの需要回復を予想し、前年比5%増の9,885トンを見込む。

同様に2021年の国内単結晶販売についても、前年比5%増の10,986トンを見込む。内国内は対前年比5%増の4,147トン、輸出は対前年比5%増の6,839トンと予想する。また、輸出比率に関しては昨年並みの62%程度になると予想する。

多結晶需要についても、半導体向けシリコンウエーハ需要の拡大に伴い、生産量は増加するものと予測する。

3. シリコン業界の課題

シリコン業界を取り巻く事業環境は、半導体メーカーの事業再編、米中貿易摩擦、中国製造2025の動き、コロナ禍でのデジタル化拡大、極限までの半導体微細化進展など、様々な需要構造変化が続いており、更には国内固有の懸念事項として、世界的に割高な国内電力料金の問題もある。

シリコン部会加盟各社は、需要構造変化への対応と共に、最先端半導体の高精度要求を満たす品質高度化、生産性向上と合理化による不断のコスト低減に取り組んでおり、環境負荷軽減に向けたパワー半導体需要にも対応していく所存である。

また、新金属協会の「半導体サプライチェーン材料規格研究会」と連携し、パワー半導体向け材料の標準化活動を経済産業省の支援も受けて推進しており、パワー半導体用ウエーハの低炭素濃度評価分野において、今後シリコンサプライチェーンに有用な2つの新金属協会規格を作成した。

〔今後のシリコン業界の課題〕

①需要構造変化と品質高度化への対応

1)最先端デバイスの高精度要求への対応

2)環境・省エネルギー用パワー半導体への対応

3)生産性向上と不断のコスト低減

②世界的に割高な国内電力料金への対応

③拡大する半導体市場への安定供給

活動概要

・シリコン部会では、業界共通課題の検討、関係官庁・団体等の動向に対する意見交換を行いました。 ・平成28年11月、経済産業省金属課及び情報通信機器課とシリコン各社トップの懇談会を開催しました。また、シリコン懇談会における話題等に関して、経済産業省金属課と意見交換をするとともに、必要に応じて課題解決に...

活動概要

・シリコン部会では、業界共通課題の検討、関係官庁・団体等の動向に対する意見交換を行いました。
・平成28年11月、経済産業省金属課及び情報通信機器課とシリコン各社トップの懇談会を開催しました。また、シリコン懇談会における話題等に関して、経済産業省金属課と意見交換をするとともに、必要に応じて課題解決に取り組むこととしました。
・経済産業省の金属素材競争力強化プランの具体化に向けて、同省金属課が策定した「シリコン業界の産業戦略」について、特にシリコン産業の将来展望等に関し意見交換するなど、必要なフォローアップを行いました。
・再生可能エネルギー買い取り制度における賦課金減免制度の見直し議論に関して、資源エネルギー庁の説明会に出席して意見交換するとともに、経済産業省金属課からの各種調査要請に対応しました。
・非鉄金属7団体が共同で運営する学生リクルート向けホームページの維持、管理を行いました。
・年2回の新聞記者会見を開催しました。平成28年7月は、売上高、設備投資額等について、平成29年3月には生産量、販売量等を報告し、シリコン業界の現況を説明しました。また、記者会見開催時に経済産業省金属課と情報交換会を開催し、経済産業行政、業界動向について意見交換しました。
・シリコン技術委員会では、シリコン業界共通の技術課題の検討や技術動向に関する意見交換を行うとともに、(一社)電子情報技術産業協会(JEITA)やSEMIの会議に参加した委員と情報を共有しました。
・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に当たり、多結晶シリコンメーカーが主体となりフォローアップ調査を継続しました。
・協会ホームページで部会活動、業界動向等の情報を広く発信するための議論を行い、発信内容を検討しました。

年表

1955年代
長船氏(NEC)がBELL研から帰国後、
電気通信研究所でシリコンの研究スタート
当時海外品のみ、国産化の要望が高まる
1960年代
半導体シリコンデバイスの時代へ(LSIの始まり)
内需・輸出ともに増大
1969:日立のPower Trを使ったカラーテレビが爆発的に売れる
1970年代
1972〜電卓がブームに
トランジスターテレビの普及により家電用半導体が急伸
NECが九州日電、東芝が大分に進出、日立が高崎に新工場
1971(S46)の不況後、1972〜74は好況
1973:オイルショック
1974:ニクソンショックの影響で1975(S50)不況
日本半導体で世界に躍進
日本、メモリで躍進
1976:日立16K生産開始
1979:64K量産

1980年代
1980:NEC64K量産化
1981:64K一斉量産化
NEDOとJDP、太陽電池プロジェクト開始
NEDO報告書でシリコンの需要増を展望
NECの4→6インチ化を皮切りに、日本のデバイスメーカー6インチ化を進める
1988:1M DRAMで東芝が圧勝
1990年代
パソコン、携帯電話等、パーソナルユースの増大
1994:世界的にシリコンサミットが開催され、次世代ウエハーを300mmに決定
1996〜98:日本半導体の構造転換が始まる(DRAMからSystem LSI(1999)に、IDMからファンドリー優位に)
台湾がELSOを作り、日本を模倣して半導体に力を入れる
2000年代
半導体の生産が韓国東南アジアにシフト
電子製品が産業用からパーソナル(民主)化で低価格化志向が顕著になる→材料への値下げ要求となっている
2001:ITバブルの崩壊
有力デバイスメーカーにおいて本格的な300mmライン構築が始まる
半導体デバイスメーカーの寡占化
半導体生産は韓国、中国への生産シフトが予想される
微細化技術の限界で、大口径化ないし材料コストへの要求が厳しくなる
1955年代
ゲルマニウム素子からシリコンデバイスへの転換→シリコンビジネスとして成立
長船氏、ソニー等の要望を受け半導体シリコンの製造に取りかかる→各社本格的生産体制へ
1970年代
日本での地盤確立→世界を視野に入れたビジネスへ
アメリカ市場への進出
高品質シリコンウエハーの基礎確立日本メーカー海外販売に注力し出す
日本のデバイスメーカーとの技術交流を通じ、デバイス留まりへのシリコン品質のポイント習得、品質で優位性築く
1980年代
日本の半導体デバイスメーカーの躍進に合わせ、日本のシリコンメーカー成長
世界に先駆けて、日本で大口径化の動きが出、日本が最先端基地となる
1983〜84:シリコン多結晶が逼迫各社ウエハー増産
大口径化、ビジネスモデル(日本の先行投資型、アメリカの単年度収益主義)、デバイス特性に合わせたシリコン品質の作り込みで日本優位が確定
1990年代
1994:世界的にシリコンサミットが開催され、次世代ウエハーを300mmに決定
Seleteがスタート:300mmウエハーの品質評価を実施
J300の設立と活動:SEMATECH、SEMIと連携し、300mmの事前標準化を推進
300mm工場が本格稼働
日本のシリコン各社、グローバル展開が効果を上げ、8インチで技術・販売・生産ともに優位を維持
1997〜98:多結晶逼迫
300mm時代への対応としてシリコン各社によるシッピングボックス標準化・共通化の取り組み実施
200mmで、IBM、Intel、東芝、三星、TSMC、Hynix、Siemens等の先行デバイスメーカーへの納入でも日本メーカー先行
台湾、シンガポールの半導体ビジネスの胎動期から積極的に販売・技術サービス実施。地盤を確保
2000年代
300mm時代を迎え、シリコンメーカーの投資負担が巨額化
多結晶、太陽電池用原料としての需要が急拡大
1950年代
1954:東海電極、東北大学の小野教授の研究成果を引き継ぎ、通産の補助金を受けて1960年頃より設備化、本格操業(1961)
大阪チタニウム、NECから製造依頼を受け、製造研究スタート
1957:信越化学、NECから高純度シリコン製造の要請を受ける
その後シーメンスからの技術導入により製造スタート(1960)
1959:日窒電子化学、野田工場で製造開始(ソニーから話があり研究スタート)
1959:日本電子金属、ペシネ技術導入でポリエ工場建設(1960)
1960年代
1960:小松製作所、石塚氏のシリコン技術で小松電子金属設立
1967:信越化学、ダウコーニングと合弁で、信越半導体を設立
1967:高純度シリコン設立
1980年代
1970:三菱モンサント化成、日本国内に参入(サントミラー)
1973:九州小松電子、九州電子金属、信越マレーシア
1974:三菱金属、チッソ電子化学を買収し、東洋シリコンを設立
1977:東芝セラミックス、操業開始
1978:東洋シリコン、日本電子金属を合併し、日本シリコンを設立
1980年代
徳山曹達(現・トクヤマ)、多結晶に進出、1984:工場完成 鉄鋼各社、シリコンビジネスに参入
1990年代
1991:日本シリコン、三菱マテリアルシリコンに社名変更
1993:大阪チタニウム、住友シチックスに社名変更
各社統廃合、合理化に動く
1996〜2001:シリコン業界協力し、次世代シリコン製造技術の確立のためのSSiを設立
各社300mmパイロットラインを設置
1999:300mm事業化でSUMCO設立
信越半導体、台湾に進出(1997:生産開始)
コマツ電子金属、台プラと合弁で台湾進出(1995:会社設立、99:年生産開始)
2000年代
2003:日本のシリコンメーカーが市場の65%を占める
経営合理化(工場整理、人員削減、生産集約化)

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