社団法人新金属協会

業界業況

1.2011年の実績 1)2011年の半導体市場は,東日本大震災やタイ洪水によるサプライチェーンの混乱はあったものの,スマートフォンやタブレット等の新市場向けの需要拡大,並びに,  世界的な環境意識の高まりからパワー半導体の需要増もあり,秋口までは概ね堅調に 推移した。その後,欧州債務問題に端を発し...

業界業況

1.2011年の実績
1)2011年の半導体市場は,東日本大震災やタイ洪水によるサプライチェーンの混乱はあったものの,スマートフォンやタブレット等の新市場向けの需要拡大,並びに,  世界的な環境意識の高まりからパワー半導体の需要増もあり,秋口までは概ね堅調に 推移した。その後,欧州債務問題に端を発した先進国景気の長引く低迷,および,中国の家電下郷政策を初めとした世界各国の景気刺激策の順次終了により,パソコンやデジ タル家電など民生機器需要が停滞を始め,DRAM価格の長期低下による生産調整も ありIC分野はマイナス成長となり,パワー半導体を含むディスクリート分野も夏場 以降から調整局面となった。
WSTS世界半導体出荷統計によれば,2011年の世界半導体市場は前年比+0.4%増の2,995億ドルと僅かな成長に留まり,3,000億ドルの大台には届かなかった。
2)シリコン市場は,東日本大震災やその後電力制約もあったが,サプライチェーン維持を目指した加盟各社の懸命な復旧努力と,BCPの観点から顧客手元在庫の積増し等の需要増もあり,夏場までは堅調に推移した。特に300mmは夏場に過去最高を記録したが,秋口以降の世界経済の低迷ともに半導体市場も調整局面となり,特に200mm以下のシリコン市場に陰を落す結果となった。
  SEMI出荷統計によると2011年の出荷面積は前年比▲3%減の90億平方インチとマイナス成長となった。また,金額ベースでは前年比+1.4%の99億ドルと増加し,単純平均単価は1.09ドル/平方インチと上昇した。300mmの増加とパワー半導体用高価格エピの増加,および,円高の影響もありドルベースの販売額は増加した。
3)経済産業省非鉄金属統計の国内シリコンウエーハの生産・販売・在庫動向は,震災により生産は影響を受けたものの,受注に対するきめ細かな対応で,半導体サプライチェーンの維持に貢献した様相と秋口以降の調整が見て取れる。
300mmは,震災影響を最も大きく受けたが,生産は順調に回復し,夏場では過去  最高の生産・販売となったが,秋口より減少傾向に転じた。
200mm・150mmも夏場までは概ね堅調に推移したが,市況悪化とともに顧客の需要構造の変化もあり,その後減少に転じた。
4)当部会集計の国内高純度シリコン統計によれば,2011年の多結晶国内生産は,  前年6-7月のデータ欠落がある実績6,806トン比で約+78%,当部会の推定  実績約7,500トン比では約+62%の12,133トンとなり,一部メーカーに  よる増産が寄与し,過去最高を更新した。
一方,単結晶国内生産は,震災影響による生産減を完全には取戻せず,前年実績8,688トン比▲15%減(当初予測は+7%増)の7,379トンとなり,過去最高を記録した2010年実績を大きく下回った。
国内単結晶の販売は,年前半の海外の旺盛な需要と,震災後のきめ細かな受注対応で  販売減を最小限に抑えたことで,前年実績8,965トン比▲6%減(当初予測は+7%増)の8,455トンと,生産の減少幅よりは少ない影響となった。
単結晶販売の内訳は,内需が▲11%減(当初予測は+7%増)の3,850トン,輸出が▲0.6%減(当初予測は+7%増)の4,604トンとなり,欧米のロジック関連,および,ファンドリーメーカーのシリコン消費増加の結果,輸出比率は昨年の51.7%から54.5%へ大幅に増加した。
2.2012年の見通し
1)2012年の半導体市場は,年初は欧州債務問題不安やPC市場の低迷等,昨年後半からの調整局面が続くものの,米中での景気回復と新興国での金融緩和等の景気下支え政策を期待し,スマートフォン,および,タブレットPC等の更なる市場拡大で,今後も堅調な成長が続くと予想する。他方,欧州債務問題の更なる悪化などの世界経済の  減速懸念が当面存在し,下ぶれリスクが残る。
  WSTSは,2011年秋季予測において,2011年を春季予測から4.1ポイント下方修正した+1.3%増と僅かな成長にとどまると見直し,その後12年+2.6%増,13年+5.8%増と緩やかに成長が継続すると見ている。この結果,2010年から2013年までの年平均成長率は+3.2%となり,2013年には市場規模3,281億ドルになると予測している。
2012年の地域別成長率は,アジア+3.4%増,日本+5.5%増,欧州▲2.1%減,米国+1.3%増,と欧州以外はマイナス基調を脱するとしている。
2012年の製品別成長率は,ディスクリート+3.4%増,オプト+5.9%増,   センサ+6.7%増,IC+2.1増の成長を予測し,最大市場のICの製品別成長率は,アナログ+3.1%増,マイクロ+3.6%増,ロジック+5.5%増,メモりのみDRAM低迷の影響をNANDの成長では補いきれず▲4.6%減と見込んでいる。
2)当部会は,2012年のウエーハ需要について,WSTSや各種調査機関の予測も  踏まえ,地域やデバイス毎に成長のバラツキはあるものの,半導体市場の緩やかな拡大と在庫調整の終了や顧客の先端品需要の高まり等に牽引され,300mm中心に需要  拡大し,200mm以下も一定レベルまで需要回復するものと予想する。
  多結晶需要については,再生エネルギー関連での一時的な低迷はあるものの,堅調に  拡大する半導体向け,および,今後とも中長期的に拡大する太陽電池向けは,共に順調に拡大してゆくものと予測する。
2012年の国内単結晶生産は,長引く円高への対応の為,加盟各社の方針に則った  海外生産の増加や加盟メンバの年内工場閉鎖の公表はあるものの,その影響は限定的で, 前年比+5%増の7,748トンと予測する。
単結晶販売は,内需が+6%増の4,081トン,輸出は+4%増の4,789トン,   合計+5%増の8,870トンと予測する。その結果,輸出比率は54%と見込んでいる。
3.終わりに
  2011年の当部会加盟各社は,長引く円高や電力需給問題等々の日本が置かれている 厳しい経済環境の中,事業再編や生産性向上・合理化による不断のコスト低減を実施してきた。また,その努力と共に,電子機器の更なる低価格指向や半導体の微細化進展による高精度品需要の益々の拡大,新構造デバイスへの対応等の技術対応と必要な投資実行に より,ウェーハの安定供給にも努めて参りました。今後も,再投資を可能とする収益を  確保しながら,次世代デバイス用ウェーハや環境対応用パワー半導体用ウエーハ等への対応を継続する必要がある。
<シリコン業界の課題>
1)微細化進展に伴う,より厳しい品質要求への継続的対応
2)電子機器の更なる低価格指向に対するコスト合理化対策
3)再投資可能となる収益の確保
4)電力の安定供給の確保
5)円高の長期化への対応

活動概要

1~2ヶ月に1回の割合で部会を開催し、シリコン業界共通課題の検討、関係官庁・団体等の動向に対する意見交換を行いました。 平成22年11月、経済産業省非鉄金属課及び情報通信機器課とシリコン各社トップの懇談会を開催しました。 シリコン産業の国内立地確保に関して、経済産業省非鉄金属課と意見交換をするととも...

活動概要

1~2ヶ月に1回の割合で部会を開催し、シリコン業界共通課題の検討、関係官庁・団体等の動向に対する意見交換を行いました。

平成22年11月、経済産業省非鉄金属課及び情報通信機器課とシリコン各社トップの懇談会を開催しました。

シリコン産業の国内立地確保に関して、経済産業省非鉄金属課と意見交換をするとともに、今後とも継続的に問題に取り組むこととしました。


経済産業省非鉄金属課の指導により立ち上げた同課所管の団体を対象とする学生リクルート向け共同ホームページに関し、当協会では、シリコン業界が対象になっていることから、これの維持、管理を行いました。

年2回の新聞記者会見を開催しました。平成22年7月は、売上高、設備投資額等について、平成23年2月には生産量、販売量等を報告し、シリコン業界の現況を説明しました。また、記者会見開催時に経済産業省非鉄金属課と情報交換会を開催し、経済産業行政、業界動向について意見交換しました。

技術委員会では、シリコン業界共通の技術課題の検討や技術動向に関する意見交換を行うとともに、(社)電子情報技術産業協会やSEMIの会議に委員参加し、標準化等についての必要な協力をしました。また、会員企業の工場見学会を開催し知見を深めました。

(独)日本原子力研究開発機構の材料実験炉JMTRの運営・利用料金に関する委員会への対応をしました。

年表

1955年代
長船氏(NEC)がBELL研から帰国後、
電気通信研究所でシリコンの研究スタート
当時海外品のみ、国産化の要望が高まる
1960年代
半導体シリコンデバイスの時代へ(LSIの始まり)
内需・輸出ともに増大
1969:日立のPower Trを使ったカラーテレビが爆発的に売れる
1970年代
1972~電卓がブームに
トランジスターテレビの普及により家電用半導体が急伸
NECが九州日電、東芝が大分に進出、日立が高崎に新工場
1971(S46)の不況後、1972~74は好況
1973:オイルショック
1974:ニクソンショックの影響で1975(S50)不況
日本半導体で世界に躍進
日本、メモリで躍進
1976:日立16K生産開始
1979:64K量産

1980年代
1980:NEC64K量産化
1981:64K一斉量産化
NEDOとJDP、太陽電池プロジェクト開始
NEDO報告書でシリコンの需要増を展望
NECの4→6インチ化を皮切りに、日本のデバイスメーカー6インチ化を進める
1988:1M DRAMで東芝が圧勝
1990年代
パソコン、携帯電話等、パーソナルユースの増大
1994:世界的にシリコンサミットが開催され、次世代ウエハーを300mmに決定
1996~98:日本半導体の構造転換が始まる(DRAMからSystem LSI(1999)に、IDMからファンドリー優位に)
台湾がELSOを作り、日本を模倣して半導体に力を入れる
2000年代
半導体の生産が韓国東南アジアにシフト
電子製品が産業用からパーソナル(民主)化で低価格化志向が顕著になる→材料への値下げ要求となっている
2001:ITバブルの崩壊
有力デバイスメーカーにおいて本格的な300mmライン構築が始まる
半導体デバイスメーカーの寡占化
半導体生産は韓国、中国への生産シフトが予想される
微細化技術の限界で、大口径化ないし材料コストへの要求が厳しくなる
1955年代
ゲルマニウム素子からシリコンデバイスへの転換→シリコンビジネスとして成立
長船氏、ソニー等の要望を受け半導体シリコンの製造に取りかかる→各社本格的生産体制へ
1970年代
日本での地盤確立→世界を視野に入れたビジネスへ
アメリカ市場への進出
高品質シリコンウエハーの基礎確立日本メーカー海外販売に注力し出す
日本のデバイスメーカーとの技術交流を通じ、デバイス留まりへのシリコン品質のポイント習得、品質で優位性築く
1980年代
日本の半導体デバイスメーカーの躍進に合わせ、日本のシリコンメーカー成長
世界に先駆けて、日本で大口径化の動きが出、日本が最先端基地となる
1983~84:シリコン多結晶が逼迫各社ウエハー増産
大口径化、ビジネスモデル(日本の先行投資型、アメリカの単年度収益主義)、デバイス特性に合わせたシリコン品質の作り込みで日本優位が確定
1990年代
1994:世界的にシリコンサミットが開催され、次世代ウエハーを300mmに決定
Seleteがスタート:300mmウエハーの品質評価を実施
J300の設立と活動:SEMATECH、SEMIと連携し、300mmの事前標準化を推進
300mm工場が本格稼働
日本のシリコン各社、グローバル展開が効果を上げ、8インチで技術・販売・生産ともに優位を維持
1997~98:多結晶逼迫
300mm時代への対応としてシリコン各社によるシッピングボックス標準化・共通化の取り組み実施
200mmで、IBM、Intel、東芝、三星、TSMC、Hynix、Siemens等の先行デバイスメーカーへの納入でも日本メーカー先行
台湾、シンガポールの半導体ビジネスの胎動期から積極的に販売・技術サービス実施。地盤を確保
2000年代
300mm時代を迎え、シリコンメーカーの投資負担が巨額化
多結晶、太陽電池用原料としての需要が急拡大
1950年代
1954:東海電極、東北大学の小野教授の研究成果を引き継ぎ、通産の補助金を受けて1960年頃より設備化、本格操業(1961)
大阪チタニウム、NECから製造依頼を受け、製造研究スタート
1957:信越化学、NECから高純度シリコン製造の要請を受ける
その後シーメンスからの技術導入により製造スタート(1960)
1959:日窒電子化学、野田工場で製造開始(ソニーから話があり研究スタート)
1959:日本電子金属、ペシネ技術導入でポリエ工場建設(1960)
1960年代
1960:小松製作所、石塚氏のシリコン技術で小松電子金属設立
1967:信越化学、ダウコーニングと合弁で、信越半導体を設立
1967:高純度シリコン設立
1980年代
1970:三菱モンサント化成、日本国内に参入(サントミラー)
1973:九州小松電子、九州電子金属、信越マレーシア
1974:三菱金属、チッソ電子化学を買収し、東洋シリコンを設立
1977:東芝セラミックス、操業開始
1978:東洋シリコン、日本電子金属を合併し、日本シリコンを設立
1980年代
徳山曹達(現・トクヤマ)、多結晶に進出、1984:工場完成 鉄鋼各社、シリコンビジネスに参入
1990年代
1991:日本シリコン、三菱マテリアルシリコンに社名変更
1993:大阪チタニウム、住友シチックスに社名変更
各社統廃合、合理化に動く
1996~2001:シリコン業界協力し、次世代シリコン製造技術の確立のためのSSiを設立
各社300mmパイロットラインを設置
1999:300mm事業化でSUMCO設立
信越半導体、台湾に進出(1997:生産開始)
コマツ電子金属、台プラと合弁で台湾進出(1995:会社設立、99:年生産開始)
2000年代
2003:日本のシリコンメーカーが市場の65%を占める
経営合理化(工場整理、人員削減、生産集約化)

会員企業