一般社団法人新金属協会

ベリリウム部会

業界業況

ベリリウムの主要用途はベリリウム銅合金(Be-Cu)製造のための添加元素である。 Be-Cuは代表的な高級導電バネ材料であり、その主要な用途はコネクター、スイッチ、リレー、ICソケットなどの各種電子部品である。それらの電子部品の需要は、部品として組み込まれる自動車(電装品)、半導体、家電品等の需要動...

業界業況

ベリリウムの主要用途はベリリウム銅合金(Be-Cu)製造のための添加元素である。

Be-Cuは代表的な高級導電バネ材料であり、その主要な用途はコネクター、スイッチ、リレー、ICソケットなどの各種電子部品である。それらの電子部品の需要は、部品として組み込まれる自動車(電装品)、半導体、家電品等の需要動向に大きく左右される。Be-Cu需要は、2022年は半導体不足による自動車向け需要減、巣籠り特需の収束等による家電分野向け需要減の影響を受けた。2023年の上半期は自動車向けの回復はあるも全体では弱い状況が続く。

1.自動車:

2022年は、自動車メーカー各社の半導体不足と上海ロックダウンによるサプライチェーンの寸断により自動車の生産は減産。その影響を受けBe-Cuの需要は減少。

2023年に入り、各自動車メーカーは増産計画を発表。部品メーカーは増産対応へ慎重な姿勢を持ち、また部品在庫の消化もあり、想定よりも緩やかな需要の回復となる。中国NEV販売が伸びている事から、当該用途向けのBe-Cu需要は堅調に推移している。当該用途需要の伸長は期待でき、仕様要求に適した効果的な提案を通してBe-Cuの採用件数を拡大させていく。

2.半導体:

2022年は、巣籠り特需で伸びたパソコン、スマホ向け半導体の需要が減少、加えて旺盛なデータセンター投資にもブレーキがかかる。

2023年も同様の状況が続く。特に上半期は低調であり、回復時期は年末前後を見込む。長期的には、デジタルインフラ投資の拡大、ADASのレベルアップによる半導体市場の成長よりBe-Cu需要も継続的な増大が見込まれる分野である。

3.家電製品:

Be-Cuはスイッチ、コネクターやリレー端子など導電バネ部品用途、信頼性が要求される箇所に使用される。当需要は家電生産の中心である中国の影響を受ける。

2022年は、巣籠り特需終了の反動を受け低調な需要。

2023年に入り、中国不動産業の不振が強まり 更に需要は減少。また流通在庫の消化も鈍く回復までには時間を要する。現在は一時的に需要停滞も、今後の回復に伴い、既存用途向けと高品質家電向け新規需要より、長期的には安定成長が見込まれる。

4.光海底ケーブル:

世界各国間のデータ通信は光海底ケーブルを経由して行われ、その中継器筐体にBe-Cuが使用されている。

2022年は堅調に推移し2023年上半期も同様の状況が続く。今後、5G向け、また次世代通信規格6G向けの設備投資の継続が予想され、海底ケーブル中継筐体向けのBe-Cu需要は継続する事が見込まれる。

以上、代表的な用途に関して市場概況を述べたが、総括するとBe-Cu合金需要は、2022年、2023年上半期は低調に推移するも2024年より回復し伸長継続が見込まれる。

地域別にみると、現在は需要減なるも中国は引き続きBe-Cuの主力市場と位置付けられ、日本は大きな伸びはなくも堅調な需要を維持、将来的にはインド、アセアン地域での需要拡大が見込まれる。更なる需要創出のため、カーボンニュートラルやデジタルインフラ関連等、伸長分野における提案型用途開発・顧客開拓を進めて行く。

活動概要

・化学物質の審査及び製造等規制に関する法律(化審法)を見直し、2020年までに国内の化学物質のリスク評価と管理を実現する体系の構築が進められていますが、これを含めEUの拡大RoHS指令の検討や関連事象について、経済産業省等からの情報収集を図りました。 ・特定化学物質障害予防規則等の改正について、経済...

活動概要

・化学物質の審査及び製造等規制に関する法律(化審法)を見直し、2020年までに国内の化学物質のリスク評価と管理を実現する体系の構築が進められていますが、これを含めEUの拡大RoHS指令の検討や関連事象について、経済産業省等からの情報収集を図りました。
・特定化学物質障害予防規則等の改正について、経済産業省及び厚生労働省並びに関係団体からの情報収集を行いました。
・経済産業省情報通信機器課が主催する「改正RoHS関連工業会合同勉強会」に関し、情報収集を行いました。
・協会ホームページで部会活動、業界動向等の情報を広く発信するための議論を行い、発信内容を検討しました。

年表

1960年代
金属ベリリウム・ベリリウム銅製造(販売)開始
1970年代
原子力産業用材料へのアプローチ
1980年代
通信機器分野のほか、家電、電子機器、自動車部品などの新分野での需要の増加
1950年代
1955:ベリリウムの製造研究着手(日本碍子、三徳金属工業、横沢化学工業)
1955:三徳金属と横沢化学のベリリウム事業
1956:ベリリウム抽出
1975:終了 (日本碍子)
1958:金属ベリリウム、ベリリウム銅母合金の生産 (日本碍子)
1960年代
1960:協会にベリリウム部会設置
1961:銅母合金委員会、分析委員会発足
1962:ベリリウム銅鋳造金型の生産(圧力鋳造・精密鋳造)
2003:終了 (日本碍子)
1980年代
1984:展伸圧延事業開始
1920年代
1927:Berylium Corp.(Berylco)
1960年代
1968:Kawecki Berylco Ind.(KBI)
1970年代
1971:Brush Wellman Inc.
1978:Cabot Corp.
1980年代
1986:NGK Metals Corp.
1940年代
1940年代前半の大戦中に米国で軍需向け合金用途が急増
1950年代
1950年代前半、朝鮮戦争特需で生産急増
1970年代
米IBM向けSLT(Solid Logic Technology)コネクターにベリリウム銅が適用→ベリ銅事業の基盤醸成
原研、材料試験炉(JMTR)用に金属ベリリウム反射体を納入
海底ケーブル用中継筺体(ベリ銅)納入(NGK)
スピーカー用金属ベリリウム振動版開発(NGK)
原子力用金属ベリリウム枠を原研(JMTR)に納入(NGK)
1990年代
海底光通信用筺体を納入(NGK)
放射光施設(Spring-8)のビームラインにベリリウム使用

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