一般社団法人新金属協会

タンタル部会

業界業況

2020年下半期(7月~12月)のタンタル国内需要について、コンデンサ向けは対前年同期比で大きく伸長していると推定される。タンタルコンデンサは世界各国で生産されているが、国内メーカー各社は海外メーカーとのコスト競争力を確保するために、基本的には生産コストの高い日本国内から生産コストの安い海外へ生産を...

業界業況

2020年下半期(7月~12月)のタンタル国内需要について、コンデンサ向けは対前年同期比で大きく伸長していると推定される。タンタルコンデンサは世界各国で生産されているが、国内メーカー各社は海外メーカーとのコスト競争力を確保するために、基本的には生産コストの高い日本国内から生産コストの安い海外へ生産を移転する方向性にあると推定される。国内コンデンサ生産数量のトレンドとタンタル材世界消費数量のトレンドがリンクしないのはこのためであるが、2020年下半期についてはタンタルコンデンサの海外生産も好調に推移し、タンタル材の世界消費数量も堅調又は増加傾向にあったものと推定される。

化合物については、引き続き低迷している。スマートフォンに使用されるSAWフィルタ用高純度酸化タンタルは、新型コロナウイルス感染拡大によるスマホサプライチェーンの機能不全は改善されて多少の回復は見られるが、5Gに伴う需要増加が待たれる状況で本格的な回復には至っていない。また、光学レンズ向けなど、他の酸化タンタルの需要も依然として弱い状況が続いているが2020年上期で底打ちはしたように見られる。炭化タンタルについては、日本機械工具工業会の統計によると超硬工具向けの消費量は、2020年7月~12月7.5トンであり、前年同期の8.2トンと比べ、▲9%の減少となった。超硬は自動車減産等による在庫調整局面を脱しつつある為、炭化タンタル需要も徐々に回復するものと推定される。

タンタル薄膜材料向け需要については、2019年にマイナス成長となった世界の半導体生産が2020年にはプラス成長に回帰したために2020年下期は前年同期比で増加となったものと推定される。WSTSの2020年秋季半導体市場予測によると、2019年通年の半導体市場は米中貿易摩擦などの地政学的リスクが世界経済成長の失速を招いた結果、半導体市場も大きな影響を受け、対前年比▲12.0%という結果になった。2020年は前年の低迷からの反発で年初から回復基調にあったが、その後の新型コロナウイルスのパンデミックにより自動車業界を始め世界経済悪化の影響を受けている。一方で5G対応スマートフォン需要が増加していることに加え、感染対策としての在宅勤務やオンライン授業などの拡大でパソコンやデータセンター関連機器需要が増加、また自宅で過ごす時間が長くなったことに伴いゲーム機器や映像音響機器など民生製品の需要も増加している。これらの状況を総合し、WSTSの最新予測は2020通年では対前年比+5.1%のプラス成長予測となっている。

スーパーアロイ等の耐熱超合金向け純タンタルについては、その用途が産業用設備や航空機等に大きく依存している。新型コロナウイルスによる需要先市場の低迷により、2020年下期も上期に続き低迷したものと推定される。

1.輸出入統計

(1)7月~12月の輸出

タンタルコンデンサの輸出は5.04億個であり前年同期比+15%となった。タンタル粉末(インゴット含む)の輸出は82トン、前年同期比+49%と増加した。タンタル製品の輸出は5トンで、前年同期比▲23%となった。年ベースの比較では、タンタルコンデンサの輸出は9.19億個であり前年比▲3%、タンタル粉末(インゴット含む)の輸出は151トンで前年比+28%と増加、タンタル製品の輸出は12トンで、前年比▲36%となった。

(2)7月~12月の輸入

タンタルコンデンサの輸入は1.03億個であり前年同期比+4%となった。タンタル粉末(インゴット含む)の輸入は21トンで前年同期比▲17%、タンタル製品の輸入は11トンで前年同期比▲8%、タンタルフッ化物は467トンで前年同期比+44%となった。年ベースの比較では、タンタルコンデンサの輸入は2.27億個で前年比▲2%、タンタル粉末(インゴット含む)の輸入は37トンで前年比▲28%、タンタル製品の輸入は21トンで前年比▲23%、タンタルフッ化物は840トンで前年比+28%となった。

2.タンタルコンデンサ市場

経済産業省の統計によると2020年7月~12月の生産は6.06億個、前年同期の5.39億個と比べて+12.4%となった。年間の比較では、2020年1月~12月の生産は11.49億個、2019年の11.9億個と比べて▲3%となった。

3.タンタル化合物市場

酸化タンタルの光学レンズ向け需要は引き続き低調である。SAWフィルタデバイス用タンタル酸リチウム(LT)単結晶向けの需要は、5Gの普及が始まっていることから需要増加に対する期待は高まっているが、現状に於いて回復は限定的。また、超硬工具向け炭化タンタルの需要は、新型コロナウイルス影響から自動車産業は立ち直るも航空機産業の低迷は続いており、炭化タンタル全体の需要としては回復していない。化合物市場全体としては上期に続き、需要は低調であった。

活動概要

・タンタル需要実績の集計を行い、公表しました。また、タンタル業界共通課題の検討を行うとともに、タンタル資源動向について議論しました。 ・コンゴ民主共和国とその周辺地域で産出する4種の鉱物(すず、タンタル、タングステン、金)の使用状況に関し、米国金融規制改革法で報告・開示が義務付けられるとともに、...

活動概要

・タンタル需要実績の集計を行い、公表しました。また、タンタル業界共通課題の検討を行うとともに、タンタル資源動向について議論しました。
・コンゴ民主共和国とその周辺地域で産出する4種の鉱物(すず、タンタル、タングステン、金)の使用状況に関し、米国金融規制改革法で報告・開示が義務付けられるとともに、新たに欧州委員会が体制整備の検討を行っていることに関して、経済産業省関係課、関係団体から情報を入手しました。
・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に当たり、新規対象業種として統計類の整備、解析、ハザードの抽出、安全対策等に関する調査・提言を行いました。
・協会ホームページで部会活動、業界動向等の情報を広く発信するための議論を行い、発信内容を検討しました。

年表

1950年代
タンタルの供給は米KBI、米ノルトン、米ファンスチール、独HCSTからの輸入品主用途はコンデンサ、研削材添加物用化合物、耐食材料
新金属としてのタンタルの国産化要求強まる
1970年代
タンタルの輸入関税は、フッカタンタルは無税、粉末・加工品は8%に
タンタルコンデンサ需要急増、主製品はディップタイプ
1975年代
国内コンデンサメーカーは9社
タンタル鉱石価格$100/Ib超える
粉末は輸入品が数十万円/kgへ
世界的なタンタル鉱石埋蔵量に不安走る
1980年代
タンタルコンデンサ需要急増
NECの奥田事業部長がCV3万の粉末要請
コンデンサ、チップ化進むより小型化、表面実装実用化へ
1985年代
世界最小のタンタルコンデンサを日本が索引
日本、世界へ超高CV粉末を発信
ソニー、ウオークマン販売
コンデンサ数十個使用
カメラ一体型ビデオ販売
コンデンサ数十個使用
1986:TIC総会(神戸)
1990年代
PCのノートブック化進む
NEC,タイにタンタルコンデンサ工場進出、生産開始
1995年代
機能性高分子コンデンサの普及
タンタルコンデンサ需要立ち上がる
携帯電話普及(コンデンサ多数使用)
1994:TIC総会(会津)
2000年代
2001:ITバブル崩壊
タンタルコンデンサ需要急落
DSC、iPodの普及
タンタル鉱石高騰、一時$300/Ib台へ
2002:TIC総会(京都)
タンタルコンデンサメーカーの海外進出、離散集合
国内コンデンサメーカーは6社へ
1955年代
タンタル国際化に向けて各社が事業化開始
粉末CV1千/g
1965年代
粉末CV3千/g
1970年代
国内タンタルメーカーは増設・増産へ(国内需要:165トン過去最高)タンタル鉱石、原料不足が深刻化
1975年代
粉末CV6千/g
1980年代
タンタルの需要急落に伴い国内各社は事業存続に試練
1985年代
粉末CV3.4万/g
液晶、半導体向けターゲット材伸びる
中国メーカーがタンタルメーカーに参入
1990年代
粉末CV5万/g
携帯電話向けSAWフィルター用タンタル酸リチウム急増
タンタル需要急増国内メーカー増設・増産へ
1995年代
粉末CV7万/g
タンタルのリサイクル化進む
2000年代
粉末CV10万/g
2000:国内タンタル需要500t台へ
粉末CV15万/g
2001:タンタル需要急落、再び材料の将来不安走る
豪グワリア社、鉱石埋蔵量数十年分可を発表
より安定した原料確保対策と高付加価値製品への特化
1955年代
1958:小松製作所、昭和電工、通産省がニオブ、タンタルの製造研究に補助金交付
1958:太陽金属工業、炭化タンタル(TaC)の生産開始
1960年代
1960:小松製作所、昭和電工、信越化学、日本曹達、タンタル粉末生産開始
1960:神戸製鋼所、東京電解、それぞれアーク溶解法、EB溶解法による生産開始
1960:日本真空技術(後の真空治金)、EB溶解実用化研究開始
1960:高純度物質研究所がタンタル陽極素子生産開始
1965年代
1961:東北金属工業、オーストリアPlanseeより粉末治金法の技術導入
1966:三井金属鉱業、炭化タンタル、酸化タンタル生産開始
1966:横沢化学、スクラップより酸化タンタル生産開始
1966:真空治金、タンタルワイヤ生産開始
1970年代
1972:昭和電工、米KBIと合弁で、昭和KBIを設立、原料の安定供給確保へ
1975年代
1976:信越化学、タンタル事業撤退
1980年代
1980〜82:国内メーカーの事業撤退進む
1982:国内メーカーは、昭和KBI(後の昭和キャボットスーパーメタル)、真空治金、三井金属鉱業、東京電解の4社へ
1984:ヴイテック設立、国内メーカーは5社体制へ
1985年代
東京電解、昭和キャボットスーパーメタル、ターゲット材へ進出
1988:ヴイテック、粉末の商業生産スタート
1990年代
1991:真空治金、武黒社長がTIC会長に就任
2000年代
2000:スタルクヴイテック、月産能力20トンへ
2001:昭和キャボットスーパーメタル、月産能力30トンへ
2002:昭和キャボットスーパーメタル、Cabot100%出資のキャボットスーパーメタルへ
2005:真空治金、アルバックマテリアルへ社名変更

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