コンデンサ向けについて、2021年のタンタルコンデンサ国内生産は13.3億個であり、うち下半期は6.4億個であった。2022年下半期は5.3億個であり前年同期比▲7%となり減少した。タンタル材の消費量についてもタンタルコンデンサ国内生産減に伴い減少したものと推定される。COVID-19の感染拡大によ...
コンデンサ向けについて、2021年のタンタルコンデンサ国内生産は13.3億個であり、うち下半期は6.4億個であった。2022年下半期は5.3億個であり前年同期比▲7%となり減少した。タンタル材の消費量についてもタンタルコンデンサ国内生産減に伴い減少したものと推定される。COVID-19の感染拡大により2021年はICT関連需要が大幅増となっていたが、本年はその特需が一服したものと推定される。
化合物については、スマートフォン市場の減速を受け低調に推移したものとみられる。2021年は比較的好調に推移したと見られるが、2022年の特に下半期以降は、世界的な政情不安やインフレによる消費者支出の抑制、スマートフォンの買い替えサイクルの伸長などの影響を受け、SAWフィルタ向け高純度酸化タンタルの需要は大きく減速したと推定される。また光学レンズ向けなどは、依然として需要は弱い状況が続いていると見られる。一方、主に超硬工具などに使用される炭化タンタルについては、景気減速や資材不足の影響を受けた自動車産業の減速を受け、低調に推移したと見られる。
薄膜材料向けタンタル材について、WSTSの2022年秋季半導体市場予測によると、2021年はCOVID-19感染拡大による在宅特需や5G化の進展、自動車電動化の加速、データセンタ投資の活発化などの牽引により対前年比+26.2%と大幅な成長となった。2022年は2年余り続いた在宅特需の一巡に加え、世界的なインフレの進行や中国のロックダウン、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化などが相まって特に個人向けの電子機器需要が低迷、+4.4%の成長予測とされ成長が大幅に減速するものと予想されている。2023年は対前年比▲4.1%と2019年以来4年ぶりのマイナス成長予測となっている。タンタル材の消費についても、半導体市場の成長リンクする形で増減していくものと推定される。
1.輸出入統計
(1)2022年下期の輸出
タンタルコンデンサの輸出は4.8億個であり、前年同期の5.4億個対比で▲11%と減少した。タンタル粉末(塊含む)の輸出は70トンであり、前年同期の79トン対比で▲11%と減少した。その他タンタル製品の輸出は3トンであり、前年同期の15トン対比で▲80%と大きく減少した。
(2)2022年の下期の輸入
タンタルコンデンサの輸入は1.29億個であり、前年同期の1.48億個対比で▲13%と減少した。タンタル粉末(塊含む)の輸入は29トンであり、前年同期の24トン対比で20%の増加となった。その他タンタル製品の輸入は18トンであり、前年同期の15トン対比で20%の増加となった。
2.タンタルコンデンサ市場
前述の通り、経済産業省の統計によると2021年に13.3億個、うち下半期6.4億個であったタンタルコンデンサ国内生産数量は、2022年下半期には5.3億個と▲17%と減少した。固定コンデンサ全体の比較では、2021年通期で1兆4,260億個、うち下半期7,289億個であった国内生産量が、2022年下期には5,411億個と対前年同期比▲26%と大幅に減少、固定コンデンサ市場全体で生産が大幅減となり、2021年に活況を呈したコンデンサ需要が一服したものと推定される。
3.タンタル化合物市場
酸化タンタルは主にデジタルカメラなどに使われる光学レンズと、携帯電話・スマートフォンに搭載されるSAW(弾性表面波)フィルタ用LT単結晶に、また炭化タンタルは主に超硬工具に使用される。光学レンズ向け需要は、デジタルカメラがスマートフォンに置き換わる大きなトレンドにともない低調である。タンタル酸リチウム(LT)単結晶向けの需要は、5Gを含むハイエンド品へ移行する流れの中で増加する方向性に変わりはないと見られているが、2022年はスマートフォン市場の減速を受け、調整局面で推移したと推定される。また、超硬工具用炭化タンタルの推定消費量は、2022年7月~12月8.0トンであり、前年同期の9.7トンと比べ18%の減少となり、景気減速と資材不足による自動車生産調整の影響により需要が反落したと見られる。超硬工具の市中在庫も充足され、各メーカーは生産調整局面で推移したと推定される。
・タンタル需要実績の集計を行い、公表しました。また、タンタル業界共通課題の検討を行うとともに、タンタル資源動向について議論しました。 ・コンゴ民主共和国とその周辺地域で産出する4種の鉱物(すず、タンタル、タングステン、金)の使用状況に関し、米国金融規制改革法で報告・開示が義務付けられるとともに、...
・タンタル需要実績の集計を行い、公表しました。また、タンタル業界共通課題の検討を行うとともに、タンタル資源動向について議論しました。
・コンゴ民主共和国とその周辺地域で産出する4種の鉱物(すず、タンタル、タングステン、金)の使用状況に関し、米国金融規制改革法で報告・開示が義務付けられるとともに、新たに欧州委員会が体制整備の検討を行っていることに関して、経済産業省関係課、関係団体から情報を入手しました。
・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に当たり、新規対象業種として統計類の整備、解析、ハザードの抽出、安全対策等に関する調査・提言を行いました。
・協会ホームページで部会活動、業界動向等の情報を広く発信するための議論を行い、発信内容を検討しました。