社団法人新金属協会

業界業況

昨年3月の東日本大震災および同10月に起きたタイ・バンコクの洪水で本業界も少なからざる影響、被害を受けている。寄稿にあたり、被災された方々および企業のご健勝と一日も早い回復を心よりお祈り申し上げます。 タンタルの主用途は、タンタルコンデンサ製造用、炉材・ターゲット製造用、スーパーアロイ製造用など金属...

業界業況

昨年3月の東日本大震災および同10月に起きたタイ・バンコクの洪水で本業界も少なからざる影響、被害を受けている。寄稿にあたり、被災された方々および企業のご健勝と一日も早い回復を心よりお祈り申し上げます。
タンタルの主用途は、タンタルコンデンサ製造用、炉材・ターゲット製造用、スーパーアロイ製造用など金属としての用途が全需要の2/3前後、その他には光学ガラス、圧電素子等製造用や超硬材料製造用など化合物としての需要がある。日本の場合、タンタル資源は全て輸入依存で、且つ精錬業が技術的競争優位性を持しているため、高加工度が要求される品種は日本で精錬加工し需要国へ輸出されることが多い。
タンタルの輸入
2011年のタンタル輸入は金属換算で約460トン、前年比△34%であった。 なお、下表中の中間体とは主としてタンタル金属精錬用の生産資材である。
パソコン、携帯電話、薄型テレビ等向けの実装電子部品がタンタルの最終用途となるが、各調査会社による2011年のこれら民生家電の世界出荷台数は、押し並べて前年比同等もしくは増加とレポートされている。タンタル輸入減の解釈は、レアメタル特有の資源偏在に起因する枯渇感が前年に現れ、早くにサプライ・チェーン各所で備蓄されていたものが2011年にデストッキングされたことに加え、2010年初来の鉱石価格上昇によるタンタルの融通の難しさから、需要家の産業構造に一部変化が出た影響などが考えられる。
タンタルの輸出
2011年タンタルくずを除いた総輸出量は約301トン、前年比-26%であった。 上述輸入と同種の理由により輸出減となったと推測する。
2011年のトピックス
以下は2011年に業界に影響を及ぼした、あるいは変化点になったと考えられる事項。
2大災害
●3月11日の東日本大震災では、東北および北関東に生産拠点を置くタンタル精錬業者および需要家が被災、またその後の電力供給制限でサプライ・チェーン全体に支障が起きた。
●10月のタイ・バンコクで起きた洪水ではタンタル需要家工場が浸水、水没し、多大な被害を受けた。
紛争鉱物
●本件は、JOGMEC2011年金属資源分野10大ニュースおよび各紙面で既に記述されているので詳細説明は割愛させていただくが、関連業界にとっての最大関心事項は米証券取引委員会が制定する規則の内容である。 しかしその発表が遅れており、2011年末時点でパブリック・コメントを公募中である(ちなみに総務省ホームページを参照したところ、パブリック・コメントとは、行政機関が政令、省令などを制定するに当たって、事前に命令等の案を示し、その案について広く意見や情報を募集するもの、とのこと)。
鉱石サプライと業界再編
●上述の紛争鉱物に注目が集まり、コンフリクト・フリー鉱物への需要が高まる中、2011年初にタンタル鉱山メジャーの豪州GAM社は、2008年来ストップしていたタンタル採鉱を再開すると発表した(ただし、2012年初に再び採鉱停止を発表した)。
●一部タンタル需要家は、OECDガイドラインに則り、中央アフリカ内でも紛争地域以外の鉱山から採鉱されたタンタル鉱をタグ・システムを用いて物流を管理し、それを契約精錬業者に搬入しタンタル加工製品にして自社向け消費材する、といういわゆるクローズド・ループ方式を構築し、資源活用を開始している。
●2010年初来ジリジリと上昇を続けていたタンタル鉱石価格は、2011年中盤にピークとなり、同後半は下降傾向を示している。 なお、タンタルはLME未上場のため、本解説は一業界誌の指標を参考にしている。
●2011年8月、豪GAM社が大手タンタル精錬業者のCabot社タンタル部門の買収を発表した。

活動概要

タンタル需要実績の集計を行い、公表しました。また、タンタル業界共通課題の検討を行うとともに、タンタル資源動向や広報のあり方について議論しました。 神鋼リサーチ(株)実施の「我が国の鉱物資源自給率に関する調査」に関し、タンタルの自給率算出のためのデーターや情報提供を行いました。

活動概要

タンタル需要実績の集計を行い、公表しました。また、タンタル業界共通課題の検討を行うとともに、タンタル資源動向や広報のあり方について議論しました。

神鋼リサーチ(株)実施の「我が国の鉱物資源自給率に関する調査」に関し、タンタルの自給率算出のためのデーターや情報提供を行いました。

年表

1950年代
タンタルの供給は米KBI、米ノルトン、米ファンスチール、独HCSTからの輸入品主用途はコンデンサ、研削材添加物用化合物、耐食材料
新金属としてのタンタルの国産化要求強まる
1970年代
タンタルの輸入関税は、フッカタンタルは無税、粉末・加工品は8%に
タンタルコンデンサ需要急増、主製品はディップタイプ
1975年代
国内コンデンサメーカーは9社
タンタル鉱石価格$100/Ib超える
粉末は輸入品が数十万円/kgへ
世界的なタンタル鉱石埋蔵量に不安走る
1980年代
タンタルコンデンサ需要急増
NECの奥田事業部長がCV3万の粉末要請
コンデンサ、チップ化進むより小型化、表面実装実用化へ
1985年代
世界最小のタンタルコンデンサを日本が索引
日本、世界へ超高CV粉末を発信
ソニー、ウオークマン販売
コンデンサ数十個使用
カメラ一体型ビデオ販売
コンデンサ数十個使用
1986:TIC総会(神戸)
1990年代
PCのノートブック化進む
NEC,タイにタンタルコンデンサ工場進出、生産開始
1995年代
機能性高分子コンデンサの普及
タンタルコンデンサ需要立ち上がる
携帯電話普及(コンデンサ多数使用)
1994:TIC総会(会津)
2000年代
2001:ITバブル崩壊
タンタルコンデンサ需要急落
DSC、iPodの普及
タンタル鉱石高騰、一時$300/Ib台へ
2002:TIC総会(京都)
タンタルコンデンサメーカーの海外進出、離散集合
国内コンデンサメーカーは6社へ
1955年代
タンタル国際化に向けて各社が事業化開始
粉末CV1千/g
1965年代
粉末CV3千/g
1970年代
国内タンタルメーカーは増設・増産へ(国内需要:165トン過去最高)タンタル鉱石、原料不足が深刻化
1975年代
粉末CV6千/g
1980年代
タンタルの需要急落に伴い国内各社は事業存続に試練
1985年代
粉末CV3.4万/g
液晶、半導体向けターゲット材伸びる
中国メーカーがタンタルメーカーに参入
1990年代
粉末CV5万/g
携帯電話向けSAWフィルター用タンタル酸リチウム急増
タンタル需要急増国内メーカー増設・増産へ
1995年代
粉末CV7万/g
タンタルのリサイクル化進む
2000年代
粉末CV10万/g
2000:国内タンタル需要500t台へ
粉末CV15万/g
2001:タンタル需要急落、再び材料の将来不安走る
豪グワリア社、鉱石埋蔵量数十年分可を発表
より安定した原料確保対策と高付加価値製品への特化
1955年代
1958:小松製作所、昭和電工、通産省がニオブ、タンタルの製造研究に補助金交付
1958:太陽金属工業、炭化タンタル(TaC)の生産開始
1960年代
1960:小松製作所、昭和電工、信越化学、日本曹達、タンタル粉末生産開始
1960:神戸製鋼所、東京電解、それぞれアーク溶解法、EB溶解法による生産開始
1960:日本真空技術(後の真空治金)、EB溶解実用化研究開始
1960:高純度物質研究所がタンタル陽極素子生産開始
1965年代
1961:東北金属工業、オーストリアPlanseeより粉末治金法の技術導入
1966:三井金属鉱業、炭化タンタル、酸化タンタル生産開始
1966:横沢化学、スクラップより酸化タンタル生産開始
1966:真空治金、タンタルワイヤ生産開始
1970年代
1972:昭和電工、米KBIと合弁で、昭和KBIを設立、原料の安定供給確保へ
1975年代
1976:信越化学、タンタル事業撤退
1980年代
1980~82:国内メーカーの事業撤退進む
1982:国内メーカーは、昭和KBI(後の昭和キャボットスーパーメタル)、真空治金、三井金属鉱業、東京電解の4社へ
1984:ヴイテック設立、国内メーカーは5社体制へ
1985年代
東京電解、昭和キャボットスーパーメタル、ターゲット材へ進出
1988:ヴイテック、粉末の商業生産スタート
1990年代
1991:真空治金、武黒社長がTIC会長に就任
2000年代
2000:スタルクヴイテック、月産能力20トンへ
2001:昭和キャボットスーパーメタル、月産能力30トンへ
2002:昭和キャボットスーパーメタル、Cabot100%出資のキャボットスーパーメタルへ
2005:真空治金、アルバックマテリアルへ社名変更

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