一般社団法人新金属協会

希土類部会

業界業況

1.   磁石 2020年1~12月のネオジム磁石の生産量は、前年比8%の減少となり12,400トン程度であったと推測される。年前半は、コロナ感染拡大により世界経済が低迷し、特に主力とする自動車向けが、生産縮小の影響を受け、大きく落ち込んだ。年後半になり、好調を維持したハードディスクドライブ向けに加...

業界業況

1.   磁石

2020年1~12月のネオジム磁石の生産量は、前年比8%の減少となり12,400トン程度であったと推測される。年前半は、コロナ感染拡大により世界経済が低迷し、特に主力とする自動車向けが、生産縮小の影響を受け、大きく落ち込んだ。年後半になり、好調を維持したハードディスクドライブ向けに加え、生産が急回復した自動車向けが堅調に推移し、中国経済の復調に伴いFA関連機器の需要も回復した。

米中対立構造の中で、中国に依存しないレアアース供給体制の確立に向けた動きが活発化しているが、依然として中重希土は中国一極依存が続いており、中国外での供給体制確立が課題である。中国は2020年の希土類採掘枠を過去最高の14万トン(前年比6%増)としたが、12月に輸出管理法を施行、2021年1月には「レアアース管理条例(案)」を発表するなどの動きが見られ、今後の運用には注視が必要である。

原料となるレアアースの価格は、中国経済の復調や電動車生産の拡大に伴い、年後半に大きく値上がりした。レアアース磁石の主原料となるNd/Prメタルの価格は、6月頃まで47~52ドル/kg程度で推移していたが、7月以降上昇基調に転じ、12月には80ドル/kg程度まで高騰した。耐熱用に添加されるDy/Tbの重希土は、年間を通じ上昇を続けた。

世界的な脱炭素の流れの中で、日本メーカーが得意とする高品質の車載用途は、電動車の生産が本格化し、急速に拡大していくものと期待される。その他にも、洋上風力発電やデータセンター、FA関連機器向けの需要も拡大しているが、中国の磁石メーカーとの競合も厳しさを増している。

 

2.蛍光体

2020年1~12月の蛍光ランプ国内出荷個数は前年比で約17%減であった。LEDランプの普及に伴い蛍光ランプ市場は縮小傾向が続いている。

2020年1~12月の薄型テレビ国内出荷台数は前年比で約11%増であった。ステイホーム需要で大画面や高精細タイプが好調であった。液晶テレビのバックライトはLED系が主流である。有機EL系も増えている。

このような状況により蛍光体向けレアアースは減少した。

 

3.セラミックコンデンサ

2020年1~11月のセラミックコンデンサの国内生産は前年同期比35%増の11,233億個となった。

エレクトロニクス市場は5Gの普及に伴う通信インフラ向け及び通信端末向けの需要が拡大した。新型コロナウイルスの影響で一時エレクトロニクス市場も低迷したが、中国経済の再開をはじめとし、生活方式の変更によるPC需要の拡大等で好調に推移している。

カーエレクトロニクス向けは自動車の電装化、安全機能の拡充、自動化による電子部品需要の拡大により需要増となった。新型コロナウイルスの影響により自動車生産販売台数が減少したものの、7月頃より生産台数も回復し、カーエレクトロニクス市場も回復、特にADAS(先進運転支援システム)やAD(自動運転)向け需要は今後も増加する見込み。

 

4.排ガス触媒

2020年の自動車販売台数は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛等により、2019年比で国内販売は11.5%減、世界全体では14%減と大きく減少した。自動車販売の動向を受けて、2020年1~12月の自動車排気ガス浄化用触媒の生産量は9,579トンと、2019年1~12月の11,121トンから14%減、販売量については2019年から16%減となった。10月以降の自動車販売の回復に伴い、10月から12月は排ガス触媒の生産量・販売量とも前年同期比を上回った。販売金額については2019年から約20%増となったが、ロジウムの価格高騰と排ガス規制強化により触媒の貴金属成分を増加する傾向が継続しているためであると思われる。

2021年の排ガス触媒の生産・販売については、自動車販売が回復傾向にあるが新型コロナウイルス感染の再拡大や、直近の半導体を使った部品の供給不足による自動車の生産調整の影響が懸念される。

 

5.研磨材

液晶用ガラス基板、ハードディスク用ガラス基板などに使用されるセリウム系研摩材の2020年1~12月需要は、COVID-19による働き方や生活様式の変化が追い風となり、総じて好調に推移した。

液晶用ガラス基板向けについては、在宅勤務やオンライン授業向けのノートPCやタブレット需要が伸び、さらに巣ごもり生活でテレビ向けの需要も旺盛であったことから、液晶パネルの供給逼迫が継続した。

一方、ハードディスク用ガラス基板向けは、SSDへの置き換えトレンドは続いているものの、サーバー等の大容量向け需要も継続的に拡大していることから、全体需要としては好調であったと見られる。

活動概要

・中国から提案された希土類原料・製品各種のISO標準作成について、経済産業省国際標準課、金属課等関係課と意見交換するとともに、国内対応のために新設した研究会・委員会に部会全社が参加するなど対応を行いました。 ・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に...

活動概要

・中国から提案された希土類原料・製品各種のISO標準作成について、経済産業省国際標準課、金属課等関係課と意見交換するとともに、国内対応のために新設した研究会・委員会に部会全社が参加するなど対応を行いました。
・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に協力しました。
・日本の希土類需要推移を集計し、公表するとともに、製品ごとの需要状況等について経済産業省金属課及び資源エネルギー庁鉱物資源課と情報・意見交換会を開催しました。
・中国が特恵関税対象国から卒業するに当たり、一部の加工用原材料品が課税対象品となることから、輸入関税非課税品の対象となるように折衝を開始しました。
・協会ホームページで部会活動、業界動向等の情報を広く発信するための議論を行い、発信内容を検討しました。

年表

18世紀
1794:レアアースの発見
19世紀
19C末:ガスマントル(トリウム、セリウム)が工業化
1940年代
1947:レアアース15元素すべて明らかになる
ブラジル、インド、アメリカでモナザイト鉱石の処理本格化
1950年代
1951:米Molycorp,Montain Pass操業開始
1952:IndianRareEarths、操業開始
1954:モナザイトの世界生産量1万トン
1956:米W.R Grace社、希土類生産開始
1957:中国で白雲鉱処理開始
1960年代
モナザイト鉱石の生産はブラジル、インド、アメリカ、南アフリカ、オーストラリア
アメリカでプラセオ黄の顔料が開発される
FCC触媒量産
1970年代
アラスカの天然ガス輸送パイプラインにミッシュメタル添加がブームに
超磁歪材料(TbDyFe)が開発される
1977:中国から日本へ希土類原料輸入開始
1980年代
1980:中国希土工業代表団来日。協会、阪大、関係者各社訪問
1981:中国でイオン吸着鉱開発
1985:希土類鉱石の世界生産量4万トン
1987:中国、希土類原料で世界一の生産国となる
1988:第1回日中レアアース交流会開催
1990年代
オーストラリアでモナザイトの公害問題が表面化
1992:ブラジル、希土類鉱石の処理中止
1993:中国、鄧小平氏が南順講話にて「中東有石油、中国有希土」と発言
1994:マレーシア、希土類の分離中止
1997:中国、希土類製品の輸出許可制度がスタート
2000年代
2000:希土類鉱石の生産量8.1万トン中国が85%を占める
2002:中国で希土類の鉱山開発、製錬分離事業への外国企業の投資が禁じられる
2004:中国、希土類鉱石生産量9万8,000トン
2008年代
2005:中国、希土類製品の輸出に関し、増値税還付を廃止
希土類原料の価格上昇
希土類原料の中国依存度の問題
1926年代
ライター石の生産開始
1940年代
アークカーボン用フッ化セシウム量産開始
1950年代
板ガラスの研磨に酸化希土(セリウム)が本格採用される
鉄鋼用ミッシュメタル量産開始
1960年代
1962:新金属早わかりシリーズ『レアアース』刊行(新金属協会)
日立、カラーテレビ「キドカラー」発売
Y、Euに蛍光体需要出る
酸化ランタンを添加した高屈折レンズが開発される
1970年代
セラミックコンデンサーに酸化ランタンが使用される
ソニー、ウォークマン発売
SmCo磁石の需要拡大
自動車三元触媒の登場。酸素センサーの開発(Ce、Y)
1980年代
1982:日本希土類学会創立
三波長蛍光ランプの普及(Y、Eu、Tb)始まる
ミノルタ、オートフォーカスα7000発売
住友特殊金属、NdFeB磁石を発表
世界的な超伝導フィーバー(Y)
1990年代
ニッケル水素電池が実用化
ソニー、ミニディスク発売(Tb、Dy)
自動車用の紫外線吸収ガラスにセリウムが使用される
1993:希土類磁石がフェライト磁石の販売額を抜く(1,767トン、488億円)
携帯電話が普及し始める
Windows95発売。
HDD向けネオジ磁石の需要拡大
トヨタ初代プリウス発売
2000年代
ランタン添加の高性能フェライト磁石普及
京都議定書批准による省エネ、環境問題から、モーター、電池の需要増大
【課題】燃料電池の開発、磁気冷凍の開発、コージェネデバイスの普及、希土類原料のリサイクル促進
2005年代
2代目プリウスでハイブリッドカーが普及(ネオジ磁石、ニッケル水素電池の需要拡大)
フラットパネルディスプレイの普及(PDP、液晶)
1940年代
1943:探照灯用フッ化希土生産のため日本金属化学(現・太陽鉱工)が設立される
1947:清美化学(現・セイミケミカル)設立
1949:日本金属化学、新日本金属化学に社名変更
1949:三徳金属工業(現・三徳)設立
1950年代
1957:日産稀元素化学設立。希土類化合物の生産開始
1957:和光物産、IREの総代理店となる
1960年代
1963:三井金属、三井物産と合弁で、三金レアアースを設立
1966:信越化学、高純度イットリアの企業化発表
1968:三井金属、東北金属工業との合弁で日本イットリウムを設立
1969:三金レアアース、三井金属の完全子会社となる
1970年代
1970:新日本金属化学、三光稀元素静岡工場を買収
1971:三徳金属、希土類金属の酸化物電解法を工業化
1974:三菱商事、Molycorpの総代理店になる
1975:三菱化成、Malaysian Rare Earth Corp(MAREC)を設立
1979:三菱化成、ノルウェーMEGONと合弁で、MCI-MEGONを設立
1980年代
1980:三菱化成、マレーシアにAsian Rare Earth(ARE)を設立
1980:三井金属、三金レアーアースを解散
1984:昭和電工、希土類合金の製造を開始
1985:住友軽金属工業、希土類母合金の生産開始
1985:三井金属鉱業、三池メタル工場で中国イオン鉱の処理開始
1986:ローヌプーラン、住友金属鉱山と合弁で、日本レアアースを設立
1986:三菱金属、アメリカReactive Metalと合弁で、NEOMETを設立
1990年代
1990:住友金属工業、Molycorpと合弁で、住金モリコープを設立
1994:日本レアアース解散
1997:同和レアアース解散
1997:三菱化学、黒崎工場の希土類生産を中止
1998:三菱マテリアル、アメリカ子会社Neometを清算
1999:三徳、アメリカ子会社Santoku Americaを設立
2000年代
2001:住友軽金属工業、希土類母合金の製造中止
2001:三徳、中国包頭に子会社の包頭三徳電池材料有限公司を設立
2002:昭和電工、中国包頭にネオジム合金を製造する合弁会社を設立

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