1.磁石 2023年は通年で酸化Dy以外の全磁性材原料の値動きは大きく下げに転じた。 酸化Ndは年初USD 112.5/㎏から始まり12月にはUSD63.5/kgまで下落(下落幅56.4%)。また、 酸化Tbは2,025USD/㎏から1,100USD/kgまで下落(下落幅54.3%)。中国の生産枠が...
1.磁石
2023年は通年で酸化Dy以外の全磁性材原料の値動きは大きく下げに転じた。
酸化Ndは年初USD 112.5/㎏から始まり12月にはUSD63.5/kgまで下落(下落幅56.4%)。また、
酸化Tbは2,025USD/㎏から1,100USD/kgまで下落(下落幅54.3%)。中国の生産枠が3年連続で対前年比20%以上増加したことにより、磁性材原料の供給過剰が影響し価格が大幅下落。中国経済失速が響き内需が減速したことも影響。一方、酸化DyはUSD358/kgから375USD/kgまで上昇(上昇5幅%)。上期に下落したが、下期に政府が市場介入し価格上昇に転じた。
2023年中国のミャンマーからの中重稀土輸入量は、2022年通期の1万4千トン(REO)より3.3倍増の約4万7千トン(REO)となった。
主な要因としては2つ挙げられ、中国側コロナ制限廃止による輸入再開と中国国内磁石用途における中重希土の需要が増加。
中国一辺倒の供給網を多様化する動きは以下の通り。
①加Neo Performance社はエストニアにおいて、5,000t/年の焼結磁石製造施設の建設に着工。②韓SGI社もベトナムに同規模磁石工場を建設中。
中国レアアース集団は長汀金龍と広東稀土が中国稀土の傘下となったことで、中国稀土と
北方稀土の2極へ本格化。同国のNdFeBの増産投資活動も継続的に活発化している。2023年2月でのNdFeB生産量の推測は26.7万トンであったが、9月以降EV車駆動モータ用磁石需要回復の兆しからNdFeBの生産量予測を28.3万トンへ上方修正がなされた。但し、中国国内全体の経済は依然として低迷しており、上方修正の生産量に達するかは不明。
2.蛍光体
2023年1~12月の蛍光ランプ国内出荷個数は前年比で約14%減であった。LEDランプへの代替が進み蛍光ランプ市場は縮小傾向が続いている。電力コストの高騰や環境配慮気運の高まりが代替を加速させている。昨年11月に批准された水銀規制に関する国際条約によれば、2027年末までに全ての一般照明用蛍光灯の製造が終わることになる。
2023年1~12月の薄型テレビ国内出荷台数は、前年比で約10%減であった。ステイホーム需要の収束、物価高などが影響していると思われる。個人がスマホ等で動画を視聴するスタイルの普及もあり10~30代の年齢層に「テレビ離れ」も見られる。
PCやタブレット端末などのテレワーク特需も収束した。
LEDの波長変換にはレアアース系蛍光体も用いられるが、使用量は極めて少ない。
また有機ELなどレアアースを用いない新たな発光材料も浸透してきた。
この分野のレアアース需要は減少した。
3.セラミックコンデンサ
2023年1~12月のセラミックコンデンサの国内生産は前年同期比約10%減の10,038億個となった。
エレクトロニクス市場はPC、タブレット端末やデータセンター向け需要の低迷が継続した。
カーエレクトロニクス向けは自動車の生産が緩やかに回復しEV化による使用部品数も増加したことで需要は堅調に推移した。
中国の内需低迷に伴い市場全体としては低調であったが、年後半からは半導体向けやエレクトロニクス市場も回復に向かっていると思われる。
しかしながら、セラミックコンデンサでは脱レアアース化が浸透しており、小型化、生産者の現地生産等も重なりレアアースの使用量は低位安した状況で大きな変化はない。
4.排ガス触媒
2023年の世界の自動車生産は、コロナウイルス感染拡大や半導体不足の影響から回復し自動車生産台数は2022年比で10%近く増加し、国内の自動車生産台数については2022年比で15%増と好調に推移した。
そのような状況下、2023年1~12月の自動車排気ガス浄化用触媒の生産量は9,847トンと2022年1~12月の9,418トンから5%増、販売量については2022年から2%増、販売金額については2022年から25%減となった。生産量、販売量は前年を上回ったが、自動車生産台数の伸びと比較すると上昇幅は低い結果となった。これは中国向けの輸出が低調であったためであると思われる。販売金額の減少については、触媒成分である貴金属価格の下落により販売単価が低下した影響による。
5.研磨材
液晶用ガラス基板、ハードディスク用ガラス基板などに使用されるセリウム系研磨材の2023年1~12月の需要は、総じて低調に推移したと見られる。テレビやノートPC、タブレットなどに使用される液晶用ガラス基板向けについては、欧米をはじめとするインフレの継続や不透明な国際情勢などにより個人消費は伸びを欠き、多くのメーカーは調整局面で推移したと推定される。またハードディスク用ガラス基板向けも、世界経済の不透明感を背景にデータセンターなどの計画の後ろ倒しにより低調な状況が続いたと見られる。
・中国から提案された希土類原料・製品各種のISO標準作成について、経済産業省国際標準課、金属課等関係課と意見交換するとともに、国内対応のために新設した研究会・委員会に部会全社が参加するなど対応を行いました。 ・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に...
・中国から提案された希土類原料・製品各種のISO標準作成について、経済産業省国際標準課、金属課等関係課と意見交換するとともに、国内対応のために新設した研究会・委員会に部会全社が参加するなど対応を行いました。
・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に協力しました。
・日本の希土類需要推移を集計し、公表するとともに、製品ごとの需要状況等について経済産業省金属課及び資源エネルギー庁鉱物資源課と情報・意見交換会を開催しました。
・中国が特恵関税対象国から卒業するに当たり、一部の加工用原材料品が課税対象品となることから、輸入関税非課税品の対象となるように折衝を開始しました。
・協会ホームページで部会活動、業界動向等の情報を広く発信するための議論を行い、発信内容を検討しました。