社団法人新金属協会

業界業況

2011年の希土類の業況は、総じて低調であった。その原因として、東日本大震災の影響や、タイの洪水などが挙げられるが、その他希土類業界特有のものとして、原料価格の記録的な高騰等に伴う省希土類、脱希土類の傾向 が加えられる。この傾向は、今後も継続されるであろう。 原料に関して、価格面では、年央に記録的な...

業界業況

2011年の希土類の業況は、総じて低調であった。その原因として、東日本大震災の影響や、タイの洪水などが挙げられるが、その他希土類業界特有のものとして、原料価格の記録的な高騰等に伴う省希土類、脱希土類の傾向 が加えられる。この傾向は、今後も継続されるであろう。
原料に関して、価格面では、年央に記録的な高値をつけたあと、一転下落に転じた。数量面では、中国のEL発給量は、1回目が14,446トン、2回目が15,738トンで、ほぼ前年と同量であったが、ELは余った模様である。また、2011年は、中国以外の国からの輸入も始まり、これまでの中国一国集中は、多少なりとも改善された。
  
1. 磁石
2011年1-12月の希土類磁石生産量は、2010年比ほぼ横ばいとなった。前半は、東日本大震災後の市場の活力低下及び電力制限などの影響で低調になったが、その後持ち直し、9月頃までは順調に推移した。しかし、その後はタイの洪水や、欧州をはじめとする景気後退の影響を受け、VCMやエアコン向け等が冴えず再び下降を辿った。また、記録的な原料メタルの高騰を受け、製品によっては、フェライト磁石への置き換えも起きたようである。原料メタルは、7月に記録的な高値となったが、その後下落に転じ、最高値の70~50%程度まで下げており、今なお、下落傾向である。
 
2.ニッケル水素電池
  2011年1-11月のニッケル水素電池生産個数は、2.85億個程度、対前年同期比約13%の減であった。また、同期ハイブリット車生産台数は、65万台程度、対前年同期比約11%の減であった。いずれも、東日本大震災の影響を大きく受けた結果となっている。
 一方、ニッケル水素電池に使用するMm(ミッシュメタル)等の希土類原料に関して、2012年後半には中国以外からの供給開始もアナウンスされているが、今しばらく時間を要し、引き続き中国の動向が、国内ニッケル水素電池市場に影響することが懸念される。

3.蛍光体
2011年の薄型テレビの国内出荷台数は前年比で約21%減少した。エコポイントと地デジ化の2大特需の終了後に大幅に落ち込んだ。PDPの不振、液晶テレビバックライトのCCFLからLEDへの代替も顕著となった。照明分野では、2011年の一般蛍光ランプが前年比で約20%減少した。
震災後の電力供給問題から始まった節電の取り組みが根付き、企業や公共施設、一般家庭は蛍光灯点灯箇所を減らしており需要が落ち込んだ。LED照明は電球型で普及が進み販売量で白熱電球を上回った。蛍光体用希土類は、LED分野では増えたが絶対量は少なく、三波長ランプ、PDP、CCFLの需要の影響によりトータルでは前年より減少した。

4.セラミックコンデンサ
2011年のセラミックコンデサの生産は7,300億個台と前年比横ばいとなった。東日本大震災以後、各需要家の部品在庫積み増しにより前年を上回るペースで推移したが、11月以後急減速となった。スマートフォン、タブレットPC向けは好調を維持しているものの、それ以外の用途では低調な動きとなっている。レア・アース原料価格がいずれも1万円/kgを超えており、各部品メーカーでは採算割れが続出し脱レア・アースの動きが強まっている。

5.排ガス触媒
経済産業省の自動車排気ガス浄化用触媒統計によれば、2011年の生産量は2010年に比べ、11.2%そして出荷量で13.7%減少した。
上期は震災の影響により生産量は大きく落ち込んだが、下期はかなり回復すると見られていた。
しかしながら下期に起きたタイの洪水被害による多くの自動車メーカーの生産台数の落ち込みは、排ガス触媒を含むパーツメーカーにも影響が及び、結果として上記のような減少として現れた。
世界に目を向けると、ヨーロッパにおける金融不安、中国の成長率の鈍化などのマイナス要因はあるが、自動車産業はそれほど悲観視していないようである。日本では、上述の状況等によりトヨタが生産台数で世界3位に後退し韓国ヒュンダイ社に迫られているが、2012年は昨年の障害を乗り越えさらに回復へと各社強気の予想をしている。
これに伴い、日本の排ガス触媒の生産量も伸びると思われるが、一方では、原料であるレア・アース価格の高騰への対処、ユーロ6等のより厳しい環境規制への対応、貴金属の使用量削減要求等の課題は山積している。

6.研磨材
  液晶用ガラス基板向け、ハードディスク用ガラス基板向けなどのセリウム系研磨材の2011年の需要は大幅に減少した。要因としては、急激な中国の希土類輸出管理強化を背景とした希土類価格の暴騰により、需要家が研磨材使用量の大幅削減努力を進めたことに加え、液晶テレビの販売が低調であったこと、タブレットの台頭とPCメーカーの在庫調整によるノートブック型パソコン販売伸び悩み、タイの大洪水の影響などが挙げられる。

7.光学レンズ
カメラ映像機器工業会統計によるデジタルカメラの生産台数は、2011年7-11月累計として、約5,510万台、前年同期比96%とやや減少した。しかし、レンズ交換式一眼レフタイプ(デジタル一眼レフ)は、前年同期比125%と、依然として好調を維持している。
また経済産業省の光学ガラス生産統計によれば、2011年7-10月累計は前年同期比約95%と下落した。
 以上のような状況下、2011年下期の光学レンズ用向け酸化ランタンの国内消費量は、前年より減少したものと推定される。
さらに2010年夏以降の希土類価格が高騰し、また入手が困難となったことにより、今後、日本の光学ガラスメーカーの一部の生産が海外に移りその分、国内の酸化ランタンの市場が縮小する可能性がある。

活動概要

中国政府のレアアース輸出枠(E/L)削減政策と尖閣諸島問題に端を発したレアアースの輸出停止措置に対して、経済産業省非鉄金属課と情報・意見交換会を開催しました。 政府がレアアース総合対策を取りまとめ、補正予算で1000億円を措置したことから、経済産業省非鉄金属課と公募内容や補助金執行状況等について情報・意見...

活動概要

中国政府のレアアース輸出枠(E/L)削減政策と尖閣諸島問題に端を発したレアアースの輸出停止措置に対して、経済産業省非鉄金属課と情報・意見交換会を開催しました。

政府がレアアース総合対策を取りまとめ、補正予算で1000億円を措置したことから、経済産業省非鉄金属課と公募内容や補助金執行状況等について情報・意見交換を行うとともに、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)による資源戦略、支援制度、金属ファイナンス部関連予算等に関する説明会を開催しました。

協会賛助会員である神鋼リサーチ㈱が資源エネルギー庁鉱物資源課からJOGMEC経由で委託を受けた「我が国の鉱物資源自給率に関する調査」に関し、レアアースの自給率算出のためのデーターや情報提供を行いました。

日本のレアアース需要推移を集計し、公表するとともに、製品ごとの需要状況等について経済産業省非鉄金属課に情報を提供しました

年表

18世紀
1794:レアアースの発見
19世紀
19C末:ガスマントル(トリウム、セリウム)が工業化
1940年代
1947:レアアース15元素すべて明らかになる
ブラジル、インド、アメリカでモナザイト鉱石の処理本格化
1950年代
1951:米Molycorp,Montain Pass操業開始
1952:IndianRareEarths、操業開始
1954:モナザイトの世界生産量1万トン
1956:米W.R Grace社、希土類生産開始
1957:中国で白雲鉱処理開始
1960年代
モナザイト鉱石の生産はブラジル、インド、アメリカ、南アフリカ、オーストラリア
アメリカでプラセオ黄の顔料が開発される
FCC触媒量産
1970年代
アラスカの天然ガス輸送パイプラインにミッシュメタル添加がブームに
超磁歪材料(TbDyFe)が開発される
1977:中国から日本へ希土類原料輸入開始
1980年代
1980:中国希土工業代表団来日。協会、阪大、関係者各社訪問
1981:中国でイオン吸着鉱開発
1985:希土類鉱石の世界生産量4万トン
1987:中国、希土類原料で世界一の生産国となる
1988:第1回日中レアアース交流会開催
1990年代
オーストラリアでモナザイトの公害問題が表面化
1992:ブラジル、希土類鉱石の処理中止
1993:中国、鄧小平氏が南順講話にて「中東有石油、中国有希土」と発言
1994:マレーシア、希土類の分離中止
1997:中国、希土類製品の輸出許可制度がスタート
2000年代
2000:希土類鉱石の生産量8.1万トン中国が85%を占める
2002:中国で希土類の鉱山開発、製錬分離事業への外国企業の投資が禁じられる
2004:中国、希土類鉱石生産量9万8,000トン
2008年代
2005:中国、希土類製品の輸出に関し、増値税還付を廃止
希土類原料の価格上昇
希土類原料の中国依存度の問題
1926年代
ライター石の生産開始
1940年代
アークカーボン用フッ化セシウム量産開始
1950年代
板ガラスの研磨に酸化希土(セリウム)が本格採用される
鉄鋼用ミッシュメタル量産開始
1960年代
1962:新金属早わかりシリーズ『レアアース』刊行(新金属協会)
日立、カラーテレビ「キドカラー」発売
Y、Euに蛍光体需要出る
酸化ランタンを添加した高屈折レンズが開発される
1970年代
セラミックコンデンサーに酸化ランタンが使用される
ソニー、ウォークマン発売
SmCo磁石の需要拡大
自動車三元触媒の登場。酸素センサーの開発(Ce、Y)
1980年代
1982:日本希土類学会創立
三波長蛍光ランプの普及(Y、Eu、Tb)始まる
ミノルタ、オートフォーカスα7000発売
住友特殊金属、NdFeB磁石を発表
世界的な超伝導フィーバー(Y)
1990年代
ニッケル水素電池が実用化
ソニー、ミニディスク発売(Tb、Dy)
自動車用の紫外線吸収ガラスにセリウムが使用される
1993:希土類磁石がフェライト磁石の販売額を抜く(1,767トン、488億円)
携帯電話が普及し始める
Windows95発売。
HDD向けネオジ磁石の需要拡大
トヨタ初代プリウス発売
2000年代
ランタン添加の高性能フェライト磁石普及
京都議定書批准による省エネ、環境問題から、モーター、電池の需要増大
【課題】燃料電池の開発、磁気冷凍の開発、コージェネデバイスの普及、希土類原料のリサイクル促進
2005年代
2代目プリウスでハイブリッドカーが普及(ネオジ磁石、ニッケル水素電池の需要拡大)
フラットパネルディスプレイの普及(PDP、液晶)
1940年代
1943:探照灯用フッ化希土生産のため日本金属化学(現・太陽鉱工)が設立される
1947:清美化学(現・セイミケミカル)設立
1949:日本金属化学、新日本金属化学に社名変更
1949:三徳金属工業(現・三徳)設立
1950年代
1957:日産稀元素化学設立。希土類化合物の生産開始
1957:和光物産、IREの総代理店となる
1960年代
1963:三井金属、三井物産と合弁で、三金レアアースを設立
1966:信越化学、高純度イットリアの企業化発表
1968:三井金属、東北金属工業との合弁で日本イットリウムを設立
1969:三金レアアース、三井金属の完全子会社となる
1970年代
1970:新日本金属化学、三光稀元素静岡工場を買収
1971:三徳金属、希土類金属の酸化物電解法を工業化
1974:三菱商事、Molycorpの総代理店になる
1975:三菱化成、Malaysian Rare Earth Corp(MAREC)を設立
1979:三菱化成、ノルウェーMEGONと合弁で、MCI-MEGONを設立
1980年代
1980:三菱化成、マレーシアにAsian Rare Earth(ARE)を設立
1980:三井金属、三金レアーアースを解散
1984:昭和電工、希土類合金の製造を開始
1985:住友軽金属工業、希土類母合金の生産開始
1985:三井金属鉱業、三池メタル工場で中国イオン鉱の処理開始
1986:ローヌプーラン、住友金属鉱山と合弁で、日本レアアースを設立
1986:三菱金属、アメリカReactive Metalと合弁で、NEOMETを設立
1990年代
1990:住友金属工業、Molycorpと合弁で、住金モリコープを設立
1994:日本レアアース解散
1997:同和レアアース解散
1997:三菱化学、黒崎工場の希土類生産を中止
1998:三菱マテリアル、アメリカ子会社Neometを清算
1999:三徳、アメリカ子会社Santoku Americaを設立
2000年代
2001:住友軽金属工業、希土類母合金の製造中止
2001:三徳、中国包頭に子会社の包頭三徳電池材料有限公司を設立
2002:昭和電工、中国包頭にネオジム合金を製造する合弁会社を設立

会員企業